やられた。
簡単にいうと病気の妹のためにダメ兄ちゃんが一念発起して頑張る難病もの、には違いない。でも普段そのへんにピクリともしない俺の琴線にふれたのは不器用で素直になれない父と息子に感情移入してしまったのと、何より花火に理由がある。今まで花火といっても夏のデートのネタくらいにしか思っていなかったが、この映画に出てくる片貝の花火は違う。地元の人たちが、お金をだしあって願いを込めて打ち上げるそうだ。ばあちゃんの長寿を祝って、孫の誕生を祝って、地元の若者の成人を祝って、そして亡くなった人への供養として。スポンサー頼みの宣伝くさいイベントと違い、普通の人たちが一年そのために頑張ってきた気持ちがこもった本当の祭り。そこで打ち上げられる花火の華やかさ、そして儚さ。普段絶対使わない言葉だけど、なんか素敵だ、そう思ってしまったんだから、やられちまったんだろう。