いやぁ、揺れたなぁ。
何年も会ってない親父から「癌でもう長くない」の知らせ。会いに行くと母親の前に付き合っていた女性を探してくれと頼まれる。手がかりは名前と当時のスケッチブック1冊、で始まる物語なんだが、…巧い。
だいたい父親と息子って歯がゆい。父親から見ると過去の嫌な自分のリプレイは避けたいだろうけど、息子から見ると絶対的な存在だった男の弱さがどんどんわかってくる。さらに悪いことに男ってイキモノは照れやプライドが邪魔してコミュニケーションが下手だ。
まだ息子は小さいけど、父親でも息子でもある自分としてはどっちの気持ちも解る部分があって色んなことを考えさせられた。
自分と同い年の親に会って…というファンタジーものはこれまでもいくつかあったが、それだけでなくミステリー作家らしい構成や伏線の巧みさも見事だった。あなたは、自分のオヤジみたいな男になりたいですか?