これまでも脚本家としての三谷幸喜は抜群にすばらしかった。でもカントクは違う職業みたいだし広い空間を使うのは苦手みたいで、メガホンを取るとパッとしなかった。でも今回やっとうまく噛み合った感じの作品ができあがった。というのは映画の中に映画というか舞台をハメ込むことに成功したから。限られた空間でのかみあわない人間模様ならば三谷さんのオハコ。コントで言うと設定を思い付いた段階で勝ち!みたいなもんだ。でもその設定で2時間以上走りきって笑わし、教訓もなにもない娯楽に徹する腕はさすが。今回ももちろん豪華な出演陣なんだけど役者は演技どうこうより、細部まで計算された設定の上で踊らされるのを楽しんでいる感じ。面白いより、巧い!に唸らされる快作だ。