明るい貧乏か…

かつて一世を風靡したB&Bの島田洋七さんが、幼少期の物語を育ててくれたばあちゃんの思い出をメインに綴った原作は映画化とか何とか話が出る前に読んでいたので、俺にしては珍しく「原作→映画」という作品になった。

ストーリーは俺たちの親世代の貧乏少年成長記。ただ小学生のうちに預けられられたばあちゃんが半端なく「がばい(佐賀弁ですごい)」人だったから物語は彩を帯びる。「拾うものはあっても、捨てるものはない」と磁石を引きずって歩き、野菜、木の枝、お供え…いろんなものが流れてくる家の前の川を「うちのスーパーマーケットや」と呼ぶ。少年が友達のように運動をしたいと言うと「走っとき!走るだけなら道具も要らんし、地面もタダだ。でも靴は履くなよ。磨り減るから」
でも決してケチなわけでなく、孫が中学の野球部でキャプテンになったと知ると、閉店した運動品店のオヤジを叩き起こして1万円札を突きつけ「一番高いスパイクをおくれ!2200円?何とか1万円にならんか」何てイキなんだろう。

ばあちゃんだけでなく、周りの人たちの暖かさや支えあって生きているエピソードも盛りだくさん。貧乏できっと何もなかったけど、隣の人すら信用できないような現代よりよっぽど「人間らしく」生きてるなぁと思った。
戦後日本は大幅な経済成長を遂げ、生活は便利になって世界でも有数の金持ち国民になった。でもそのメリットとこういう大事なものというのは交換で失わざるを得なかったんだろうか?

儲けることだけが目的になってる写真の男なんかにばあちゃんの言葉を聞かせたい。
「お金持ちになったらいいもんを食べないかんし、旅行もたくさん行かないといかん。転ぶ時だって高い服が汚れてしまうから気をつかわないかん。忙しくなるぞ!だから貧乏の方がよっぽどいいだろう。」