何でもカブせりゃいいってもんじゃない。

俺は親子モノに弱い。特にオヤジと息子。子供の子の字もいない10代の頃から何故かいつもオヤジの方に感情移入してしまい、ボロボロ涙を流すことが多かった。

で、この映画。出産の時に恋人を亡くし、そのショックで息子からも逃げていた父親が15年ぶりに初めて会った子供と過ごしながら、心の溝を埋めていくという話だ。

15年会ってない、しかも存在を見捨てていた息子への罪悪感はとても大きなものがあるだろう。息子の方だって、突然「お父さんだよ」ってやって来たって簡単に受け入れられるはずがない。でもそこに本当の親子だから感じる隠せない愛情みたいなものもあって、その葛藤がドラマを紡いでいく。これだけで充分だ。

なのに息子を障害者にしてしまったもんだから、グンと話がややこしくなってしまった。映画やドラマでの障害者というのは「かわいそうで」「やさしくしてあげなくちゃいけなくて」なぜか「心は純粋」だったりする場合が多い。この息子もそのパターンで、それが主人公の父親の苦悩をさらに大きなものにしているみたいなんだけど、それっておかしいし、失礼やろ。
障害者は確かに気の毒だと思う。でも彼らは単に体の機能が大多数の人間よりちょっと劣ってるだけ。他はみんなと同じだし、そういう扱いをして欲しいはずだ。なのに大概は腫れ物にさわるような扱いをしたり、勝手に重荷に感じたりする。それこそ差別だ。
そんなんだったら、精神的におかしい無差別殺人者とか、常識や恥の意識が著しく欠如したバカガキとかにも、もうちょっと優しくしてやれよ。

さらに腹立ったんが、この父親が障害者の息子とコミュニケーションをとるために、徹底して息子の望むとおりに行動したこと。アホか!罪悪感かなんかしらんけど、擦り寄って甘やかすだけで、心が通じると思ってるなら大間違いだ。ワガママなガキなんだから、ビシっと締めるところは締めんかい!それじゃ、写真の親バカ親父と変わらんぞ。