
自由って大変だわ。
中学の頃、バスケ部に入っていた。全国大会にも出場するような強豪だったので、夏休みに家族が旅行に行こうが関係なし。毎日練習があり「今日も練習かぁ。休みにならんかなぁ」がツレとの合言葉だった。でもある日、顧問の先生の都合かなんかで突然練習が休みになった。あれほど渇望していた休みだったのに、突然言い渡されると何をしたらいいか見当がつかない。結局ダラダラして無駄に終えてしまった記憶がある。
似たような経験は誰にでもあるかもしれないが、この映画はそういう自由の大変さとアメリカに根強く残る差別を抽象的に、そしてシニカルに描いた作品だ。
主人公のギャングの娘は旅の途中、マンダレイという所の農園に立ち寄る。そこでは驚くべきことに未だ奴隷制度が存在していた。彼女はオヤジの手下の武力を盾に奴隷たちを解放し、自由を取り戻してあげたが、元奴隷たちはどうも浮かない顔をしている…
ここまで観ていて、真っ先に思い出したのはイラクに駐留している米軍と現地の人たちの関係だった。独裁者フセインを武力で倒し人民を解放したとアピールしている米軍と、かえって内政が混乱しこれならフセイン時代の方がマシと思っている現地のイラク人。
「自称:世界の警察」様は自由の国だといいながら、敗戦国に押し付けるのはいつも自国流の政策ばかりだ。現地に根付いた文化や宗教なんかの事情なんて知ったこっちゃないし、それを継続する方の自由は与えてくれない。そんな状態だったら、勝手も分かるし多少しんどくても昔のほうがいいと思うのは無理もない話だ。
奴隷解放の時にしたのと同じ失敗を占領国でもし続けるアメリカ。これじゃ占領国を奴隷程度にしか考えてないのがチョンバレだ。
自由というのは同時にそれを遂行する責任を伴う状態のことだ。反抗してむやみやたらに叫べばいいってもんじゃない。天国の彼はそれをわかって歌っていたんだろうか?