
いや、俺はあんまり。
俺も映画の主人公と同じように高校生の頃、好きだった女の子にずっと言えなかった「好きだ」。映画では羨ましいことに17年後に再会していたが、俺はずっと会えなくてもう15年になる…。
個人的な話は置いておいて、大事なことほどなかなか言えない気持ちはとてもよく分かる。だから登場人物たちがあまり喋らない理屈はわかるんだけど、それを映画でやられるとちょっとキツイなというのが見終わっての感想だ。
台詞がない分、画面は微妙な表情に寄ったり、空を大写ししたりして気持ちを「隠喩」し続ける。「愛してる」「世界で一番…」「運命の愛」…歌でも映画でもアホみたいに直球の表現が溢れかえる世の中で、隠喩は洒落た雰囲気の表現だと思うんだけど、「それだけ」の連発はつらい。ピッチャーにとってキレのいい変化球は武器になるが、それはストレートとのコンビネーションがあってこそというのと同じ。フォークばっかり投げてたら打たれちゃうぞ。
「いくら思ってても言葉にしなきゃ、伝わらないの」冒頭の彼女に言われた言葉の意味がいい年になった今も身に染みた。