そんなスゴいんかな?

アカデミー作品賞こそ逃したものの監督賞は受賞、ヤフーのレビューを見ても「今年のベスト1」「観て絶対後悔しない」など絶賛の嵐…偏見なしに見たつもりだが、「わかるけど…」というのが正直な感想。別にみんなが褒めてるからけなしたくなったわけじゃない。

内容はゲスく女性週刊誌風にタイトルをつけるならば「アメリカの荒涼な自然がはぐくんだカウボーイ2人の同性不倫愛!家族に隠し通した辛く、そして狂おしいほどに愛しい20年の末にあったものは…」みたいな感じやね。

世間にもそして自分の中にも存在する同性愛への偏見。それに苦しみながら、それでも愛を貫き通した究極のラブストーリー、みたいに括られてるけど、俺はどうも彼らから「love」をあまり感じ取れなかった。羊以外には人っ子ひとりいない山の中で何ヶ月も2人だけで暮らせば、そりゃ同志愛みたいなものはイヤでも生まれるだろうし、勢いでそうなってしまうこともあるかもしれない。でも山を降り、普通の生活を始めた彼らが本当に求めていたのが「お互いの愛」だったのかはちょっと疑問だ。

街での生活にはあまり馴染めない二人。彼らが街から「あの楽しかった」山に逃避したい願望と、なかなかそうはいかない現実。叶わなければ叶わないほど強くなるその気持ちが、思い出とオーバーラップしたために「お互いを求めている、あれこそ愛だったんだ」と錯覚しているように俺には見えた。

そういう意味でなら情熱の火を燃やし続けたのも納得がいくし、逆に実現しないほど頭の中で美化・強化されていくのは当たり前だと思う。だから苦難を乗り越えて耐えた愛みたいな捉え方にはどうしても違和感を感じる。決して男同士だからということではない。

まあでも、自分の中に秘密を抱えながら生きていくってのは大変だろうなぁってつくづく思った。バレたら大変やろうし…え?写真?全然関係ないですよ!