引退興行だ…。

現役では一番好きだったアクションスター、ジェット・リーの「アクション俳優」としての最後の作品だそうだ。もうとっくに40歳越してるし仕方ないねんけど、ちょっと寂しい。

今回演じたのはかつてのハマリ役、黄飛鴻と並ぶカンフーの達人、霍元甲。日本ではなじみが薄いけど、中国人にはもうお馴染みの伝説の人。日本で言ったら沢村栄治と写真のオジさんみたいな感じなんだろう(ワンちゃんはまだ元気だけど)

ストーリーは偉人伝だけあって、教科書的な展開で可もなく不可もなくというところなんだけど、やはり感じてしまったのがアクションの衰えだ。といっても決してリーの体が老化したとかそういう話ではない。
かつては彼らのような鍛え抜かれた「超人」にしか不可能だったスピードアクション。観客はそれを期待し、彼らもそれに応えることで映画の主役をはってきた。しかし、ワイヤーアクションの技術がハリウッドに渡り、CGで何でも創り出せるようになった現在、素人でも同じレベルのアクションをやっているように見せることは簡単になってしまった。そうなるとイケメンの俳優や美人女優ですら激しいアクションをホイホイ取り入れるようになるから希少価値はなくなるし、武術だけがメシの種だった彼らにはキツイ話だ。

ちょっと先輩のジャッキーはそれでも人の良さがにじみ出る表情や、コメディ俳優の方向で何とかやっているけど、真面目な田舎の青年という感じのリーは今後どうしていくんだろうか?

俳優人生の集大成となるこの映画に「アクション俳優」という消滅しそうな職業の精神を刻んだといったらカッコよすぎか?
スクリーンから消えてしまうのはジェットのスピードにならないよう、オレは願っている。