走れ!アホ中2!

主人公ラルフはカナダの私立学校に通う14歳。要領のよい方ではないし、先生にも目をつけられっぱなしだ。でも父を亡くし、重病で入院中の母には優しい心を持っていた。でもある日、母親が昏睡状態に陥る。「彼女が再び目を覚ますためには、『奇蹟』でも起こらないと難しい」医者の言葉を聞いたラルフは自分が起こせるかもしれない唯一の『奇蹟』、ボストンマラソン優勝に向け走り始める…。

設定だけ聞くと「ピュアなスポ根感動物語」が展開されそうだが、そうじゃない。ラルフは思春期まっさかり!煩悩が制服を着て歩いているような中2だ。頭の中はエロとイキリでいっぱい、元・男子ならたいがい思い当たるような失敗をしまくる。決して特別な少年ではなく、どこにでもいるバカにされる方のヤツだ。

でも彼が唯一違ったのは「信じる心」を強く持っていて、決して捨てなかったところ。優勝目指して練習に打ち込むひたむきな姿だけだったら、大して胸には響かなかったと思うが、バカにしていた彼の愚かな行動に少しずつ心を動かされていく周囲を見て、写真のオッさんの有名な言葉を思い出さずにはいられなかった。

「信は力なり」
ワケの分からん殺人事件が続出し、どんどん人を信じられなくなっている時代だからこそ、その意味がじんわり身にしみた。