
モンスターはそこにもいる…。
エクアドルで起こった連続児童殺害事件。主人公は「モンスター」と名付けられた犯人を追ってやってきたドキュメンタリー番組の人気レポーター。偶然リンチから助けた男が自分の疑いを晴らすのと引き換えに「モンスター」についての情報を提供すると言う。うまくいけば一世一代の大スクープだ。男は警察に情報を流さず自分たちだけで行動をはじめるが…ここまで書くと良質なミステリーっぽく見えるかもしれないが、違う。でも謎解き以上に深く、刺激的な作品だった。
マスコミ仕事に関わっている俺としては、スクープを求める気持ちはわからんではない。警察や記者会見での発表を垂れ流すばかりの毎日で、偶然つかんだ自分だけの情報。名声とかそんなことは後回しで本能的に夢中になってしまうだろう。しかし集中してもいいけど夢中になっちゃいけないのが、ジャーナリストの仕事じゃないだろうか?
またもう一つ勘違いしちゃいけないのが、マスコミは決して権力ではないということだ。「みんなが知りたがってる」という免罪符の下、混乱している関係者に群がって無神経な質問をぶつけるハエみたいな記者。中には「この問題をどうするつもりだ」といつの間にか被害者代表になってたりする輩もいる。確かに一般の人が入れないところに入れたり、普通会えない人に会えたりするから勘違いしやすいのはわかる。でも「お前には力もないし、偉くもなんともないんだぞ」と言うことを自覚してれば、あんな事は恥ずかしくてできないのが普通の人間だ。
思わず似非ジャーナリスト批判になってしまったが、お前はどうなんだと言われるとぐうの音もでない。映画の最中も身につまされる思いがして苦しみまくった。でもドキュメンタリーでなく劇映画と言う形で突きつけられたテーマは、ジャーナリストだけじゃなくて誰でも考える価値があると思う。
(写真の中の見出しと本文に一切関係はありません)