ホンモノに圧倒された。(写真はニセモノ)

LAのサウスセントラルという危ない地域で「生きていくために踊る」ダンサーたちの姿を追ったドキュメント。俺は正直、日本のヒップホップカルチャーが大嫌いだし、この映画にも偏見を持っていたが、そんな甘ちゃんなファッション映画ではなかった。

今まで見たこともない彼らの激しいダンス。映画の中で「俺たちは日常生活の不満や問題をダンスで表現してる」みたいなコメントがあったが、彼らにとってダンスはカルチャーとかそういう片手間のもんじゃなく生き方そのもの、言うなら「魂の発露」そんな言葉がピッタリくるように思えた。

日本でもよく駅で深夜に練習しているのをみかけるし、ダンス教室なんかも盛況なようだが、まるで違う。音楽こそ同じヒップホップだが、いかに派手な振り付けを周りと合わせてカッコ良くやるかを練習している日本人に比べ、彼らの踊りは素人目で見たらメチャクチャ。個人個人でまるで違うし、錯乱しているようにすら見えるけど、そこに何かパワーを感じる。さらに踊る若者を見る周囲の目が老若男女とても温かったのが印象的だった。

日本でこそ黒人はカッコイイみたいな風潮があるけど、未だに生活はギリギリな人が多くて音楽やダンスも生きていくために仕方なく産み出した娯楽から発展してきたという現状。そりゃカッコよくて当たり前だ、必死やねんから。誰かの真似事じゃなくてそれぞれがオリジナルなんだから。
映画館には服装だけ真似てるバカも多かったけど、彼らがその辺のカッコよさをどう捉えたか?自分をちょっと恥ずかしく思えたか?そこにもちょっと興味がわいた。

でも残念だったのは所詮フィルムだってこと。やっぱりああいうのはライブじゃないと。あのバトルをナマで感じて、あの飛沫を浴びてみたい。ただ行くのはかなりコワいわな。日本人ってバレたら5分くらいで身包みはがされそう…←やはり偏見。