
俺にできるやろか・・・?
戦争モノの映画はいくつも見てきたが、これまではちょっと昔の遠い外国の話だった。心に残るものもあったが所詮は他人事、自分とは距離のある世界だという意識があった。しかし、この作品が描くのはわずか10年ほど前。アフリカ・ルワンダという遠くの国ではあるけれど、俺が大学生だったその時代に100万人、満員の甲子園20回分の人が同胞に虐殺された真実の物語だ。
多数派民族による少数民族の虐殺が国中で起こる非常事態。主人公のホテル支配人は結果的に1200人を救うことになったのだが、彼は英雄になろうとか「民族差別がおかしい」とか、すばらしく崇高な気持ちから行動したわけでない。目的はただひとつ「家族を守りたい」それだけだった。
映画の中ではそれ以外にも内戦の狂気や、軍の腐敗、国連軍という建前だけの存在なども描かれているが、一番心に残ったのは最後まで家族とプロ意識を最後まで守り、結果「偉業を成し遂げてしまった」一人の父親の必死な姿だ。同じ父親として「あんな状況に追い込まれたらお前に何ができる?どこまで家族を守りとおせるか?」刃を突きつけられ続けている、そんな緊張感があった。
さらに日本人として情けなかったのが、先進国の人間の無力さだ。自国の人間を助けるためには手間を惜しまないが、現地人は無視。現状を伝えるはずのジャーナリストも安全保障のため行動を制限され、伝えたとしてもニュースを見た人々は一瞬、「怖いね。」と言うだけでまた普通の暮らしに戻ってしまう…俺もそうだが、きっとアナタも身に覚えがあるはずだ。自分たちの利益誘導のために他国で争いを起こしておいてこの無責任さはなんだ!
そんな痛いところをついているからかどうかこの映画、当初は日本公開の予定すらなく、映画ファンの署名でミニシアター上映にこぎつけたという。でも俺が見た大阪の映画館は朝イチのモーニングショーにも関わらず立ち見のでる盛況。映画会社も・・・とか×××くだらん作品に予算や劇場を割く余裕があるなら、こういうものを広く取り上げんかい!喝!!