
あぁ、またか、という感じ。
誤解のないように書いておくが、三谷幸喜というのは現代の日本において天下一品の喜劇作家だと思う。ひねくれ者の俺でも「十二人のやさしい日本人」「笑の大学」といった映画化作品はすごい!と思ったし、新撰組!や古畑(イチローにあそこまでやらせられるのは信じられん)もたいしたものだと思う。
だから今まで彼が監督した作品「ラヂオの時間」「みんなのいえ」も欠かさず見てはいる。でも今回も劇場を出た時に感じたのはいつもと同じ感想だった。
今回もフジテレビの全面バックアップで平日の昼間にも関わらずほぼ満員だったし、ヒットはするだろう。で、そこそこ面白い。でもそれまでなのだ。
今回の作品は、大晦日の有頂天ホテルで起こるさまざまな人々の物語。関係ないはずのストーリーががちょっとずつリンクして最後のカウントダウンパーティーへつながっていく。ハリウッドのB級作品とは違って伏線はったらちゃんと拾ってあるし、つなぎ方も確かにとても「うまい」。でも作品全体を俯瞰した時に伝わってくるものがとても希薄な気がした。
何か行動を起こすには必ず「手段」と「目的」がある。目的を果たすために最適な手段を取っていくというのが本来の手順で、この映画でも三谷さんが伝えたいメッセージ、面白さを表現するための手段として群像劇という手段をとったはずだ。それがいつの間にか群像劇をキレイにつなげることが目的になってしまい、残ったのは結局伝えたいのは何だったの?という結果。時々あると思うんだけど、気が利いていて、タイミングもバシっと決まったのに面白くないコメントみたいな感じやなぁとオレは思った。
冒頭に書いたように類まれなる才能を持った人で、なおかつ傍目には似たような職業に挑戦してもなかなかうまく行かないのがプロの世界だ。もうすぐキャンプも始まるけど、写真の人とか大丈夫やろか?まぁ「代打オレ」とか「オレ、しんどくなったから小野」とかはちょっと聞いてみたいけど。