「必要悪」という言葉がある。
道徳的に見て褒められた存在ではないが、世の中を運営していく上では必要な物のことだ。分かりやすい例でいうと風俗産業はその典型だし、バラエティ番組における写真の男や青木さやかの存在、プロレスの悪役、ビジネスにおける談合や根回しなんかも多少の差こそあれ、円滑な進行のためには必要不可欠なモノだ。

その際たるものがこの作品の主人公「武器商人」だ。確かに彼らは商売をしているだけだが、それが戦争の拡大やむごい虐殺を引き起こす。もちろん彼らだってそんなことは分かってるが、それは「俺の仕事ではない=関係ない」。確かに。
そんな闇の男たちの存在をちょっとユーモラスに描き、世界最大の武器商人=アメリカ合衆国をチクチクつっつく本作は決してデートにはお勧めできない。でも年末に1年を振り返り、いろいろ考え直すのにはいい作品かもしれない。

劇中で「俺は自分の身を守るのに必要な人たちに武器を売ってるだけだ。人がたくさん死ぬというけど、自動車事故であれだけたくさんの人が死んでるのに自動車会社が責められたことがあるか?」という台詞がある。参った、ぐうの音もでない。誰か論破して!

ただ気になったことがひとつ。法律や身分をごまかすのはいいけど、生え際をごまかすのは見苦しくないか?ケイジくん。