一晩寝るとその日の記憶がなくなってしまう。そんなヒロインにあきらめずに毎日口説き、デートを重ねるうちに・・・いや、映画としてはとてもロマンチックでいい話だと思うよ。

でも映画を見ながらずっと考えてしまったのは「忘れる」ということについてだ。
「忘れるということは人間の能力だ。だって全て忘れられなかったら、苦しみを捨てられないし、パンクしてしまう」昔聞いたそんなセリフで正当化するつもりはないけど、俺は結構忘れっぽいと思う。友達の相談を受けたりしても、その時は真剣なんだけど自分の喋ったことをほとんど覚えていないし、嫁さんから何かやりっぱなしで片づけを忘れて怒られることはほぼ毎日。でも、もう15年以上前の失恋の記憶は今もハッキリあるし、何だったらセリフまで再現できるくらいだ。
一方で、仕事できるし俗に言う「賢い」女性なんかによく聞くのは「前の男のことなんかこれっぽっちも思い出さない。存在がなかったものとして生きている」というすごいフォーマット力(りょく)。

後者の方は辛い過去を無意識下で封印して・・・なんて理屈で説明できるのかもしれないけど、前者(俺のことや)の場合、覚えとかなあかんこと忘れるし(コンパに来た女の子の名前とか)、「思い出の地」に行くたびにいい年して胸が苦しくなってしまう。この記憶の取捨選択ってのはどうやったらコントロールできるんだろう・・・

あとこのヒロイン、寝ずに徹マンとかやったらどうなるんかなとか、酔いつぶれて昼間から寝ちゃったらどうやろ?とかそんな邪な事を考えながら見ていたけど、ここでこんなことを書いた事すらあっという間に忘れちまうんだろうな、俺。