窮屈な体育座りでケツが痛くなった体育館。上履きでもなく、運動靴でもない「体育館シューズ」という不思議な履物を久しぶりに思い出した。

お遍路を無理やり横文字にした「ロード88」というタイトル、主人公は女子高生、無意味なスケボー。この映画が誰に向けて作られたかはよくわかる。
でも、小倉久寛さん演じる昔売れてたコメディアンの衣装はラメのジャケットにデカい蝶ネクタイ。わざとらしい大阪弁を喋り、ネタはダジャレばかり。おまけに彼を使って「芸人がネタをやって自転車で旅をする」という今時、文化祭ビデオでもやらんような企画で番組を作るディレクターが使うのは「○○ちゃん」呼びとか逆さ言葉…。
生きることの尊さとか、お遍路の旅の途中で触れる人の温かみとか、テーマは悪くない。なのに、どうしてターゲットが死ぬ事の次に嫌がる「寒い」シーンを連発するのか?週末の5・6時間目、文化なんとか鑑賞という名のもとに体育館でこの映画を「見せられ」、授業よりマシと喜んでいた生徒たちがサーっと引いていくのが目に浮かんだ。

確かにこういう道徳的なテーマというのは教室で金八ばりの講釈を垂れられるより、映画の登場人物から教えられた方がよっぽど素直に受け取れることが多い。だからお役所のバックアップでこの類の映画が作られ続けるのだが、作り方はカンタンだ。まず「お金がおりやすい」テーマをもとに「お金を出す人」が喜びそうなエピソードをデッチあげる。そこに「お金を出す人」でも知ってそうな若者像を加えて、仕上げに「お金を出す人」でも理解できるユーモアと「お金を出す人」の知り合いの出演シーンを添えて出来上がり。喜ばしてるのはお客さんではなく「お金を出す人」だけだ。

ヒットしなくても一定数の上がりが見込めるからおいしい仕事なのかもしれないが、こういう映画を見せられた青少年の心に「邦画つまらん」という芽が植えつけられ、結果的には自分たちの食い扶持を減らしていることに制作者は気づいているのだろうか?
あともう一つ、一番大事な「あなたのドナー登録が白血病患者を救う」という最後のメッセージが誤植で「あたのドナー登録」になってるのにも気づいているのだろうか?

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