すさまじき哉、人生!

昭和の日本を生き抜いた在日朝鮮人家族の「濃い人生」を描いた作品。楽しませる気も教訓もない。でも「どないや!これがわいの生き方や!文句あるんならかかってこんかい!」とでも言われそうな迫力に圧倒された。この映画のあとでは、膝の上のポップコーンすらず~んと重くなりそう。絶対にデートなんかで行ってはあかん。

怪物と呼ばれた主人公金俊平もすごかったけど、その周りの人間の人生も今の我々から見たらメチャクチャ。帰宅してネットで調べたらあれでも原作や実話よりだいぶソフトになっていると聞き、戦中戦後を生き抜いた祖父母世代のの生命力を改めて痛感させられた。そりゃ長生きしはるわ。

スクリーンの中で展開される彼らの苦しく辛い人生を見ていて考えていたことがある。先日あるミュージシャンに聞いた「人生、幸福の分だけ不幸があるし、不幸のぶんだけ幸福がある」という言葉だ。聞いた時は素直にいい言葉だと思ったが、一気にグラついてしまった。彼らの幸せって一体なんだったんやろう?あの苦しみのモトはとれたんやろうか?

役者陣も鈴木京香以外は力が入っていて見事な熱演だった。寺島進や新井浩文なんかはうまくて当然だが、オダギリジョーや濱田マリがあんないい味出すなんて!
主演のたけしさんも凶器と狂気と侠気を兼ね備えてて見事だったんだけど、晩年のシーンでボロい長屋で白髪の姿を見ると、どうしても記憶の中のシーンと重なってしまって…
「ヴェ!見事な攻撃だ!さてはお前、タケちゃんマンだな?」

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