
味噌汁みたいな作品だ。
我々の生活には西洋が溢れている。衣食住全てが明治以降に流入した西洋文化に圧倒され、それなしで生きていくのは不可能だろう。確かに便利だし快適だから人々に受け入れられたわけだが、DNAにしかけでもあるんだろうか、時々和風に身をゆだねてみたくなることがオレはある。
シネコンなんかに行くとスクリーンにはバタくさい洋物が溢れている。見た目も派手だし、大きな資本を投下して作られた作品はしっかりマーケティングしてあり、誰が見てもそこそこ面白いように作ってある。マ○ドみたいなもんだ。でもそれだけが全てだと思って脇にある煮物やらキムチやらを毛嫌いしていると、感覚の「スーパーサイズ・ミー」みたいになってしまうに違いない。
この作品はその点、全く派手なところはない。人情でとったダシ汁にゴボウと豆腐、少々の大根役者を入れて煮込み、それを長年培った味噌でまとめた。殺陣のネギは薬味程度。「うまい!!」と感激するほどの味ではないが、日本人なら飲んだ後「ふぅ~っ」ため息がでるほど落ち着いた味に仕上がっていると思う。ただ客席を振り返ると「夫婦50割引」利用者ばかり。テレビの人気番組を工夫なく持ってきたり、ダシガラ状態の昔のスターで団塊世代をあつめるだけでなく、この味噌汁の旨さをいかにコンビニ世代に味あわせるか?それが日本映画界の課題だろう。
オレはハンバーグ定食でも魚フライ定食でもスープではなく、ご飯と味噌汁が欲しい方だ。でも、だからといってあの店でカレーライスについてくる味噌汁はサービスとはいえ、微妙だ…。
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