残業で遅い帰宅になった。外はしとしとと、だらしなく雨が降っている。
家族がみんな寝静まっている中で、一人晩飯をとる。雨の雫の音が聞こえる。車が音も聞こえない、静まりかった夜だ。
食事を済ませ煙草を吸い込みひと段落。給湯器で追い炊きを始め風呂の準備を始める。リビングに給湯器の低い音が響いてくる。
風呂上りに熱いコーヒーを入れ、ブラックでいただく。
リビングには誰もいない。静寂な空間が支配するリビングで一人佇む。聴こえてくるのは相変わらずだらしない雨音だけだ。今日も一日が終った。安息の時間だ。
「おい! Randyっ」
甲高い声が俺を呼ぶ。慌てて振り返ったが誰もいない。いや、この時間だ、起きている筈がない。
疲れているのだろうか? 気を取り直し、また熱いコーヒーを注ぎ込む。
「おい! Randyっ」
声がするのが早いか生暖かい妖気が俺の全身を包み込む。
「誰っ」と言いたかったが、声が出ない。
玄関から続く廊下から何かが近づいてくる気配がする。足音は聴こえないのだが、確かに何かが近づいてくるのが分かる。
「おい!Randyっ」
有りもしない勇気を振り絞り、廊下に続く引き戸を一気に開けた。
・・・・・・
誰もいない。
「おい!Randyっ」
えっ
振り向き様に飛び込んできたものは・・・・
「おい! Randyっ。追い炊きした風呂が熱いんじゃ~。もう少し冷ましてくれんかのう~」
文才が全くありませんな。
やっぱりこの手はいけません。
通常モードに戻りますよって
夏だからと思いましたが、駄目駄目でした(´_`。)