全検入場していたE7系F13編成がパンタグラフ遮音板を設置して出場したことで話題になっていますが、ここ数日は小山新幹線車両センターに留置されているというツイートが流れてきたので、見に行ってきました。
(E723-13・小山新幹線車両センター・2017年8月16日)
(E725-13・小山新幹線車両センター・2017年8月16日)
(E725-413・小山新幹線車両センター・2017年8月16日)
このパンタグラフ遮音板ですが、パンタグラフの風切り音や集電騒音を遮断して沿線の騒音を低減させることが主目的です。
JR東日本の場合、低騒音碍子を使用した低騒音シングルアームパンタグラフPS207形をE2系1000番代で採用して以来、パンタグラフ遮音板なしでも275km/h運転を可能としていました。
E5系ではFASTECH360での試験の実績から採用されたPS208を搭載。PS207よりも前面投影面積を縮小して低騒音化を図りましたが、320km/h運転ではパンタグラフ遮音板が必要だと言うことで、E5系にはパンタグラフ遮音板を搭載しています。
(E525-1・仙台・2010年11月25日)
E7系にはE5系のPS208をベースとしたPS208Aを搭載。また設計最高速度が275km/hということで、パンタグラフ遮音板なしで製造されました。
では、なぜ今回E7系F13編成にパンタグラフ遮音板が設置されたのでしょうか。
ということでパンタグラフ遮音板を設置した場合のメリットを考えてみましょう。
最大のメリットは当然ながら低騒音化です。そして低騒音化した分最高速度の引き上げも可能となります。となれば上越新幹線、北陸新幹線の最高速度引き上げを検討しているのでしょうか?
しかしE7系は元々275km/hまでの環境性能を備えているはず。しかも先頭部が短いので320km/h運転は環境性能的に不可能だと言えます。
なんとも不可解なパンタグラフ遮音板の設置ですが、実は2016(平成28)年1月26日に発表した環境省の「北陸新幹線(長野・金沢)に係る環境基準達成状況について(お知らせ)」で住居地域などのⅠ類型エリアでの環境基準値が81測定箇所中37箇所で超過したとのこと。
これに対して速やかに対策を講じるために、環境省は国土交通省と沿線各県に要請をしています。
となると、今回E7系にパンタグラフ遮音板が設置されたのは国土交通省鉄道局への要請した
1.最も基本的な施策である音源対策を直ちに強化し、環境基準の達成を図ること。
に対応したものなのかも知れません。
ともあれ現時点では真相は不明ですが、今後の動向に注目したいところです。
(E725-13・小山新幹線車両センター・2017年8月16日)