京王の新型車両5000系が総合車両製作所(J-TREC)から若葉台検車区に陸送されてきたので、若葉台まで見に行ってきました。
(デハ5731・若葉台検車区)
5000系は一晩に2両ずつ陸送され、30日未明に最後の2両が到着しました。このあと10両編成に組成される模様。
5000系はJ-TRECのステンレス車体「sustina」を大手私鉄で初めて採用しました。前面デザインは流線型でかなりシャープな印象。スカートがピンク色でいいアクセントになっています。
(デハ5731・若葉台検車区)
ピンクのラインは幕板部に配されて、腰部には青いラインのみなのも斬新です。
座席はクロス/ロングシート転換式として、座席指定列車にも使用できるようにしているのが5000系のポイント。公衆無線LANやコンセントも装備されます。
5000系は10両編成5本を製造し、2018(平成30)年春から夜間帰宅時間帯に座席指定列車を新宿〜京王八王子間と新宿〜橋本間で運行する予定です。
朝〜日中はロングシート車として使用。なおロングシート車としては2017(平成29)年9月から運行を開始します。
ひとつ気になるのは、この編成が5030番代だということ。ひょっとするとロングシート固定仕様の5000番代が登場するということでしょうか?
と思っていましたが、京王電鉄のルールでは都営地下鉄乗り入れ仕様車が30番代だというご指摘をいただきました。
そんな5000系ですが、ご存じの通り京王の5000系は2代目となります。
初代5000系は1963(昭和38)年に京王線の架線電圧を600Vから1,500Vに昇圧した際に登場しました。
従来車のイメージを完全に脱却したアイボリー車体にエンジのラインと、パノラミックウインドウを採用した流麗な前面デザインが特徴的でした。
(クハ5756・新宿)
この初代5000系が登場する背景には、京王帝都電鉄(当時)が1962(昭和37)年7月に「京王のイメージ」をアンケート調査した結果が影響しているそうです。
アンケートでは「地味でパッとしない」「電車がのろい」などのネガティブな評価が多かったとのこと。
ちなみに5000系以前の車両のカラーは緑一色。
(デハ2410・京王れーるランド・2013年10月26日)
確かに地味と言われれば仕方ないかも知れませんね。
5000系が登場する直前には湘南スタイルの洗練されたデザインとなり、高性能車の2000系や2010系も登場していました。
(デハ2015・京王れーるランド・2013年10月26日)
しかし当時の京王線は最高速度が75km/hに制限されていたこともあって遅いイメージが定着していたようです。
そこで京王は新宿〜京王八王子間に特急を新設すると共に、その特急に運用する車両として初代5000系を登場させたのだそうです。
(クハ5723・京王れーるランド・2013年10月26日)
当初は2扉クロスシート車も検討したそうですが、一般的な3扉ロングシート車で登場。ともあれ京王は1963(昭和38)年の昇圧、特急の新設、5000系の投入で、大きくイメージチェンジをすることに成功したといえます。
そんな5000系でしたが、6000系に特急運用を奪われた後、7000系後期形や8000系に置き換えられて、1996(平成8)年に京王から姿を消しました。
2000(平成12)年から導入された9000系は、5000系をイメージしたデザインを採用しているのだそうです。
(クハ9751・つつじヶ丘〜柴崎・2017年2月2日)
パノラミックウインドウがポイントなのかも知れませんが、京王としても5000系への思いが強いのかも知れません。
そしていよいよ登場した2代目5000系はデザインを大幅に変更した他、座席指定列車用クロスシート車として運用可能なことが大きな特徴となっています。
(デハ5731・若葉台検車区)
つまり初代同様、2代目5000系も京王のイメージチェンジを図るために登場したといえそうです。なんだか京王5000系は特別な存在という気がしてきますね。
9月の運行開始が待ち遠しいです。