中央・総武線の103系、301系を駆逐した209系500番代とE231系ですが、これから大きな動きがありますので、ここで両形式の変遷と現況を確認しておこうと思います。
(クハE231-40/クハE231-520・三鷹車両センター・2015年2月10日)
JR東日本はVVVFインバータ制御方式の通勤形電車209系を京浜東北線に投入して103系を置き換えました。続いて中央・総武線の103系の置き換えを計画し、そのための新型通勤車両の試作車として209系950番代を1998(平成10)年10月に製造しました。
形式としては209系を名乗っていますが、2,950mmのワイドボディ、IGBT素子のVVVFインバータ制御装置、列車情報管理システムTIMSを搭載しており、実態は2000(平成12)年に登場したE231系の試作車でした。そして2000(平成12)年6月にE231系900番代に改番されています。
(クハE231-901・飯田橋〜市ヶ谷・2008年3月22日)
試作車らしくVVVFインバータ装置は2タイプ搭載。三菱電機製の3レベルVVVFインバータは、後に通勤仕様で採用されました。一方日立製作所製の2レベルVVVFインバータは近郊仕様で採用。つまり通勤仕様で唯一磁励音が一旦下がる「墜ちるインバータ」を1ユニットだけ搭載しています。
また5号車に6ドア車を組み込みました。
本来ならば、このままE231系の量産を迎えるところでしたが、当時103系の故障が多発していたため、209系950番代の車体と209系0番代のシステムを組み合わせた209系500番代を中央・総武線に投入。1998(平成10)年11月から営業運転を開始しました。
(クハ208-502・西荻窪・2016年7月31日)
ワイドボディに白く塗られた前面が209系500番代の特徴。素子もGTOなので、走行サウンドは209系そのものです。また6ドア車は製造されず、オール4ドア車でした。
中央・総武線には2000(平成12)年までに17編成が投入されました。当時は習志野電車区に配置されラシ51〜67編成となっていました。
2000(平成12)年3月に増備されたラシ66、67編成は京浜東北線用への転用を考慮した準備工事を施して落成しました。
そして2000(平成12)年11月に京浜東北線のD-ATC化工事の予備車確保用として転出。ウラ80、81編成となりました。
残ったラシ51〜65編成は、後に三鷹に転属してC501〜C515編成となっています。
2000(平成12)年3月からE231系0番代の投入を開始。
(クハE230-2・西荻窪・2016年7月31日)
E231系0番代は2001(平成13)年11月までに42編成を投入して東西線直通用を除く103系を駆逐。さらに転出したラシ66、67編成の補充も実施しています。
E231系0番代は中央・総武線に続いて常磐線に投入されましたが、その途中の2002(平成14)年11月に、東西線直通運用が減少したことによって余剰となった301系を置き換えるためにB57編成を追加投入しました。
E231系0番代は習志野電車区と三鷹電車区に配置されましたが、2003(平成15)年に習志野電車区の車両無配置化されて全車三鷹電車区に集結しました。
その東西線直通運用に充当されていた103系1200番代、301系を置き換えるため、2003(平成15)年1月からE231系800番代を投入。
(クハE230-805・中野・2007年1月18日)
これで103系、301系を完全に淘汰しました。
2005(平成17)年10月〜2006(平成18)年3月の間、京浜東北線の209系の車体保全工事の予備車確保のためにC515編成を浦和に転属しています。
2006(平成18)年、京浜東北線で使用されていた209系900番代、910番代、920番代を置き換えるために209系500番代C513〜C515編成を転用することになり、その代替としてE231系0番代B80〜82編成が新製されました。
(クハE230-80・西荻窪・2016年7月31日)
この3編成は同時期に製造が始まったE233系の設計思想を一部取り入れています。
なおC513〜515編成はE233系1000番代に置き換えられて京葉車両センターに転属。ケヨ31〜33編成となった後8両編成化されてケヨM71〜73編成として武蔵野線に転用されました。その際にサハ209形6両が廃車となっています。
2010(平成22)1月〜2011(平成23)年11月の期間、B27編成が東京総合車両センターに転属しました。これは山手線用E231系500番代6ドア車の廃車配給輸送と、代替新製されたの4ドア車の配給輸送の伴走車として使うためです。
(EF64 1030・大月・2011年4月12日)
配給輸送の際にE231系のブレーキを作動させるためにTIMSが必要で、TIMSのメインユニットを搭載する先頭車と電源確保のための中間電動車を伴走させる必要があったわけです。
この配給輸送を行なっている間、付随車4両は東京総合車両センターで保留車となっていました。現在は三鷹車両センターに戻って運用に復帰しています。
B27編成の転属に関連して、2009(平成21)年12月に京浜東北線用のウラ80編成(元ラシ66編成)が三鷹に転属。C516編成となりました。
(クハ208-516・お茶の水〜水道橋・2010年2月11日)
ウラ80編成は当初の計画で京葉車両センターに転属の予定で、三鷹への転属は一時的なものだそうです。同僚のウラ81編成は予定通り京葉車両センターに転属し、京葉線ケヨ34編成となっています。
2015(平成27)年には山手線用のE231系500番代トウ520編成がサハE231形4600
番代を抜き取って10両化の上、三鷹車両センターに転属。A520編成として運用を開始しました。
(クハE231-520・両国・2016年6月1日)
今後E231系500番代は順次10両化されて中央・総武線に転用されることになっています。
また、2015(平成27)年3月に開通した上野東京ライン(常磐線)用としてB20、B21編成が松戸車両センターに転出しました。
(クハE230-20・東中野〜中野・2010年3月31日)
転属に際してB22編成の4ドア車を組み込んでいます。その結果B22編成は7両編成で保留車となりました。
E231系500番代の転用に伴って209系500番代とE231系0番代は武蔵野線、川越線の205系を置き換えるべく転属する模様です。
その一方でE231系0番代の機器更新も始まりました。
(クハE230-30・西荻窪・2016年7月31日)
現時点ではB30、B31、B35、B36編成が機器更新をしたようです。E231系500番代の転用完了後もE231系0番代が数編成残るようですが、どの編成が残るのでしょうか?