あこがれのスハフ43形を観察した! | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

「きかんしゃトーマス号」運転初日の6月11日に、トラストトレインが運行され、「日本ナショナルトラスト」が所有するスハフ43形とオハニ36形が「かわね路1・2号」に連結されました。その中でもスハフ43形はこどもの頃に母親の実家がある四国でよく見かけ、そのかっこよさに憧れていたので、じっくりと見ることができてラッキーでした。

(スハフ43 2・千頭・2016年6月11日)

スハフ43形はスハ43系から派生した特急用三等座席客車スハ44系の緩急車です。1951(昭和26)年にスハ44形34両、スハフ43形3両、スハニ35形12両が製造され、「つばめ」「はと」「はつかり」を中心に使用されました。

車体はスハ43系をベースとしていますが、乗降扉はひとつだけで、座席単位の狭窓が整然と並んだ端正な車体は一線を画していました。

スハフ43形は主に展望車を持たない「はつかり」使用。末期はブルートレイン20系を模した青15号にクリーム色1号の帯を巻いていました。ただし帯の数は2本。この姿は「はつかり」に使用されていた当時のカラーを再現したものです。

スハ44系が製造された当初は、一方向固定式のクロスシートを835mmピッチで配置していました。

(スハフ43 2・千頭・2016年6月11日)

最初ホームから車内を覗き込んでいたのですが車掌さんや「日本ナショナルトラスト」の方から「中に入って撮影してもいいですよ」って声をかけていただいたので、お言葉に甘えさせていただきました。どうもありがとうございます。

クロスシートは2人掛けのいわゆる「ロマンスシート」で特急形に相応しいものでした。ちなみに現在は向かい合わせで固定していますが、それにつては後述します。
一方向に固定していたのは、当時の特急列車は終端部のデルタ線を使って編成ごと方向転換をしていたからです。だから常に荷物車を先頭として三等車の座席は進行方向を向いていました。

この座席構造は1925(大正14)年に製造されたスハ29300形、スハフ29500形にはじまり、1930(昭和5)年に製造されたスハ33900形、スハフ35250形がを経て受け継がれた、戦前戦後の特急形三等車伝統のスタイルらしいです。

ちなみに背面はこんな感じ。

(スハフ43 2・千頭・2016年6月11日)

おそらく、折りたたみ式の小型テーブルと、灰皿が付いていたものと思われます。

スハ44系は1960(昭和35)年に「つばめ」「はと」が電車化され、さらに「はつかり」も気動車化されて、特急の運用を失い、急行列車や団体列車用に格下げされることにまりました。

それに際して1960(昭和35)~1961(昭和36)年にかけて一部の車両の近代化工事を実施。固定クロスシートを回転クロスシートに改造したほか、スハ44形のうち14両に車掌室を設置したスハフ43形10番代が登場しました。

これが四国を走っていた当時のスハフ43形10番代です。

(スハフ43 19・赤星~伊予土居・1981年8月)

なおスハフ43形10番代はデッキの内側に車掌室を取り付けたので、外観が0番代と異なっていました。

近代化改造に漏れたスハニ35形9両は荷物車などに改造。近代化改造されたスハニ35 4~6も廃車となって1970(昭和45)年ごろまでに消滅しました。

 

スハ44系は東海道・山陽本線系統の夜行急行を中心に使用されましたが、特急格上げや山陽新幹線の開業で活躍の場が激減し、最後まで残った急行「銀河」が20系に置き換えられたことで、急行列車の運用が消滅。スハ44形は全車廃車となりました。

 

そんななかスハフ43 2、スハフ43 3の2両は1975(昭和50)年に国鉄四国総局に転属し、1976(昭和51)~1977(昭和52)年に体質改善工事を受けています。

(スハフ43 3・千頭・2016年6月11日)

その際にスハフ43 3のトイレの窓が小型のHゴム窓となりました。その際にヘッダーも廃止されるなど、外観に変化が生じました。

こちらがスハフ43 3。

(スハフ43 3・千頭・2016年6月11日)

洗面台側も小型化され、固定窓部分はHゴム支持となりました。

(スハフ43 3・千頭・2016年6月11日)

スハフ43 2は原型のままです。

(スハフ43 2・千頭・2016年6月11日)

なおスハフ43 形10番代のうち13、14、18、19が国鉄四国総局に転属した模様です。

四国では普通列車に使用されていたことから、クロスシートを向かい合わせで固定。その結果シートピッチがとても狭いボックスシート車となったのは皮肉な話です。

(スハフ43 3・千頭・2016年6月11日)

でも座り心地は良さそうですが(笑

ちなみに希に回転できた車両もいたらしいです。

 

そんなスハフ43形でしたが1982(昭和57)年から廃車が始まり、10番代は1985(昭和60)年4月8日付けで形式区分番代消滅しました。残ったスハフ43 2、3も1986(昭和61)年10月23日に廃車されて形式消滅となりましたが、「日本ナショナルトラスト」に引き取られて大井川鐵道にやってきました。

大井川鐵道にやって来てもうすぐ30年。そう考えるとかなり頑張って手入れをしているなと思います。

(スハフ43 2・千頭・2016年6月11日)

そして最後の国鉄特急形客車14系座席車が昨日JR北海道からやって来ました。この国鉄特急形客車の競演が今から楽しみです。