整備新幹線の開業が前倒しになるようです | はやこま すていしょん!

はやこま すていしょん!

更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

1月14日に政府と与党が整備新幹線についての検討会を開きました。
その結果整備新幹線の開業を前倒しとすることになったようです。

2035年度開業予定の北海道新幹線新函館北斗~札幌間は5年前倒しされて2030年度開業予定に。2025年度開業予定の北陸新幹線金沢~敦賀間は3年前倒しの2022年度開業予定となります。また2022年度開業予定だった九州新幹線長崎ルート、武雄温泉~長崎間は可能な限り前倒しとする方針のようですが、この様子ですと1年ぐらいの前倒しになるのでしょうか?

これに伴って2015年度当初予算案では整備新幹線の事業費として754億円を計上。これは前年度よりも35億円増額。当初予算額としては過去最高額だそうです。

地方は377億円を負担しますが、これも前年度より17.5億円増額されています。予算は前倒し区間を優先させ、各80億円ずつ増額するそうです。

さて、各整備新幹線の現在までの経緯と今後の予測を整理しておきましょう。

九州新幹線長崎ルート
ルート自体は新鳥栖~長崎間でしたが、武雄温泉~諫早間をスーパー特急方式として2008(平成20)年4月28日に着工しました。
スーパー特急方式とは、新幹線規格の路盤に在来線軌間1,067mmの軌道を敷設し、この区間を在来線規格の車両が200km/h運転するというもの。このスーパー特急方式は北陸新幹線糸魚川~魚津間、石動~金沢間や九州新幹線船小屋~鹿児島中央間で導入予定でしたが、いずれもフル規格新幹線に変更されています。
武雄温泉~諫早間につぃても2012(平成24)年6月29日にフル規格新幹線で着工した諫早~長崎間に合わせてフル規格新幹線に変更。現在までにスーパー特急方式で開業した例はありません。
しかし依然として新鳥栖~武雄温泉間の新幹線路線の着工は認可されておらず、現在は同区間を在来線の長崎本線、佐世保線を走行することとして、フリーゲージトレインの導入を検討しました。
フリーゲージトレインは新幹線の1,435mm軌間と在来線の1,067mm軌間の間に軌間変換設備を設置し、この区間を通過することで車輪の軌間を可変させる車両です。現在は第3次試作車による試験が実施され、実用化された場合は博多~長崎間をフリーゲージトレインで直通運転することになります。
フリーゲージトレインの課題はばね下重量が重くなることによる高速性能の低下と重量の増加、そして軌道破壊力の増大。そして軌間変換時間によるロスでしたが、整備新幹線の260km/hレベルでの問題はクリアできているようです。しかし軌道破壊の関係からJR西日本は山陽新幹線への乗り入れに難色を示しているため、長崎ルートは博多~長崎間の運転に限定される公算が高くなっています。

北陸新幹線金沢~敦賀間
今回の北陸新幹線金沢開業で不便になるのは「サンダーバード」「しらさぎ」の富山乗り入れが廃止されることです。両列車と接続するシャトルタイプの北陸新幹線「つるぎ」が設定されますが、金沢で乗り換えをする不便さは残ります。そのため、関西・中京~北陸のルートを活性化するためにも金沢~敦賀間の新幹線の開業は必須であり、開業が前倒しとなることは喜ばしいことでしょう。
しかし大阪市~敦賀間については着工が認可されていないどころかルートすら決まっていません。このままでは敦賀での乗り換えが発生することになってしまいますが、JR西日本は乗り換えの不便を解消するためにフリーゲージトレインの導入を検討し、敦賀駅構内に軌間変換試験設備を設置しました。そして2015(平成27)年度末には試作車を製造する計画です。
すでにフリーゲージトレインの試験は九州や四国で実施されてきましたが、北陸地方は降雪地帯と言うこともあり、降雪対策を施した試作車を製造するようです。
この結果大阪、京都から湖西線を経由し、敦賀から新幹線区間を走行して富山を目指すフリーゲージトレインが登場する可能性が高まっています。「しらさぎ」についてはまだ発表がありませんが、同様にフリーゲージトレインになるかもしれません。ただしその場合JR東海に乗り入れるのかは微妙なところですが。
いずれにせよ、フル規格新幹線の東京~福井系統の列車とフリーゲージトレインによる関西~富山系統の列車が入り乱れることになりそうです。
山陽新幹線へのフリーゲージトレイン乗り入れに難色を示しているJR西日本が北陸新幹線への導入に積極的なのは、北陸新幹線が全区間スラブ軌道で最高速度260km/hなのに対して山陽新幹線は新大阪~岡山間にバラスト軌道があることと、最高速度が300km/hなため、軌道破壊が大きいと考えていると思われます。

北海道新幹線新函館北斗~札幌
2015(平成27)年度末に新函館北斗まで開業する北海道新幹線ですが、やはり札幌まで開業してこそという感はありますね。
ルートは現在のメインルートから大きく変わり、倶知安、小樽を経由するいわゆる函館本線山線ルートとなります。在来線では急勾配のため、遠回りながらも勾配のない室蘭本線、千歳線経由がメインルートとなりましたが、トンネルで駆け抜ける新幹線では近道が優先されたかたち。このため時間短縮効果は非常に大きいといえますが、室蘭本線沿線の観光客減少が心配されます。
開業が15年後ということを考えるとE5系、H5系は車齢的にぎりぎりアウトでしょうか。また新函館北斗~札幌間の北海道内完結の列車も考えられ、JR北海道オリジナルの車両が出てくる可能性も期待したいところ。なお、JR北海道ではアルミ車体の経験がなかったため、酷寒地でのアルミ車体の耐久性を確認するため735系を製造して、試験の後営業運転をしています。これは新幹線開発に向けたデータ収集が目的だったのではと勝手に予想しています。

15年後には札幌まで新幹線で行ける時代になるわけですが、2027年度には超電導リニアの中央新幹線品川~名古屋間が開業する予定になっています。そう考えると10数年で日本は大きく変わりそうですね。