
(21-141/DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
ここには行ったのは2008(平成20)年以来、6年ぶりになります。
場所は愛媛県西条市、JR予讃本線伊予西条駅に隣接しています。

(四国鉄道文化館・2014年11月16日)
手前が北館で2007(平成19)年11月26日に開館。そして2014(平成26)年7月20日は駅を挟んで南館(奥)が開館しました。南館の屋根とフリーゲージトレイン2次試作車が見えますね。
北館手前にある胸像は、西条市の名誉市民十河信二氏。
十河氏は第2代西条市長であるとともに第4代国鉄総裁でもあり、新幹線建設に尽力したことで知られています。エントランスは枕木と煉瓦を敷いています。またC58 321の第2動輪と、腕木式信号機も展示されています。
館内は土足厳禁です。入館券を300円で購入して入館すると目の前には0系とDF50形ディーゼル機関車が出迎えてくれます。

(21-141/DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
「新幹線の父」である十河氏の功績をたたえるかのように保存されている21-141ですが、残念ながらカットボディです。

(21-141・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
21-141は1976(昭和51)年製造の21次車H94編成の1号車。JR西日本に承継された21-141は4両編成R52編成の1号車となった後、編成番号をQ2編成に変更しました。最後の大窓車でしたが2001(平成13)年3月9日に100系P編成に置き換えられて廃車。そしてJR四国多度津工場での保管を経て四国鉄道文化館にやってきました。
運転台と客室は常時公開されています。座席はオリジナルの転換クロスシートW-12形、W-70形ではなく、200系や0系2000番代に採用された簡易リクライニング式のD-23形、D-32形に交換されています。

(21-141・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
座席間の肘掛けは跳ね上げ可能。3列席は回転できないため、車内中央を境に集団離反式で方向を固定していました。

(21-141・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
当時としては画期的だった背面テールですが、現在のものと比べるととても小さいですね。なお、このシートを搭載した保存車両って意外と少ない気がします。
DF50形は1957(昭和32)~1963(昭和38)年まで製造された電気式ディーゼル機関車です。0番代65両、500番代73両の合計138両が製造されましたが、そのうち1~7は先行試作車で、量産車と比べて前面形状が丸みを帯びているほか、中間台車の取り付け位置などが異なります。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
DF50形は電気式なので、ディーゼルエンジンと主発電機で発電した電力で主電動機を駆動して走行します。
0番代にはドイツ・ズルツァー社と新三菱重工が技術提携して製造した8LDA25Aが搭載されています。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
このエンジンは直列8気筒125,600cc直噴式エンジンで、1時間定格出力は1,200ps。主発電機の出力は700kW、450V、1,560Aとなっていました。
なお500番代はドイツMAN社と川崎重工業、日立製作所が技術提携したV型12気筒136,778cc予熱室式ディーゼルエンジンV6V22/30maを搭載。こちらは1時間定格出力1,400psを発揮。主発電機の出力は780kW、500V、1,560Aでした。
そのほか客車の暖房用として蒸気発生装置も搭載しています。
主電動機はMT48形で出力は0番代が110kW、500番代が110kWと、電気機関車と比べるとかなり非力です。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
駆動方式は電気機関車と同様吊りかけ駆動。
主電動機の回転制御は発電機の発電電圧を変化させることで行ないます。エンジンの回転数を制御することで発電電圧を変えるため、19ノッチの主幹制御器を搭載。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
主電動機に負荷がかかって界磁電流が増加した場合、自動的に発電機の界磁を弱める機能が備わっていました。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
DF50形は軸重を14t以下に抑えて、乙、丙線への入線を可能としています。また横圧を低減させるため、国鉄車両で初めてB-B-Bという台車配置を採用。この台車配置は以後のF級機関車の基本となっています。
両端台車はDT102形。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
枕ばねをレール方向に並列配置して、オイルダンパを併用したオーソドックスなスイングハンガータイプの台車で、砂撒装置を装備。
中間台車はDT103形です。

(DF50 1・四国鉄道文化館・2014年11月16日)
枕ばねを枕木方向に並列配置しているのが特徴となっています。
DF50形は北海道以外の各地に投入されましたが非力だったため、幹線の主役は液体式ディーゼル機関車のDD51形に奪われ、また電化の進展で徐々に数を減らしていきました。
そして1985(昭和60)年に全機引退しました。保存されているのはこの1号機のほか、4号機、18号機の3両のみですが、ここまでじっくり見ることができるのは四国鉄道文化館の1号機だけです。
北館にはJR四国8000系や0系のパンタグラフも展示してあります。

(四国鉄道文化館・2014年11月16日)
そのほかサボや駅の備品なども展示されています。

(四国鉄道文化館・2014年11月16日)
四国鉄道文化館・北館の向かい側には十河信二記念館があります。

(十河信二記念館・2014年11月16日)
以前はここで四国鉄道文化館の入館券を販売していました。
1階には十河氏の功績を伝えるパネルを中心に展示。

(十河信二記念館・2014年11月16日)
2階には十河氏の遺品や、映像、アルバムなどを展示してあります。

(十河信二記念館・2014年11月16日)
ぜひ四国鉄道文化館と一緒に見学しましょう。
北館からぽっぽ橋という跨線橋を渡ると南館に行くことができます。

(四国鉄道文化館・2014年11月16日)
ということで後編は南館です。