
(8531・八幡市~淀・2013年3月23日)
1989年に後継の8000系が登場。1990年から8000系への置き換えが始まり、1995年には1編成を残すのみとなりましたが、同編成は1995年12月に更新修繕工事を実施。その際に余剰車を改造した2階建て車両を組み込んで話題を呼びました。2008年に2代目3000系が登場するにあたり、8000系30番代に編入されて活躍しましたが、2013年まで特急として活躍しました。
引退直前にクラシックスタイルとして往年のデザインに戻され、車号も3000系時代のものになり、有終の美を飾りました。ちなみにさよなら運転はオール平屋編成で実施されました。
京阪3000系は、制御電動車の3000型、制御車の3500型、中間電動車3100型が各18両、付随車の3600型が4両の、合計58両が製造されましたが、そのうち富山地方鉄道に17両、大井川鐵道に2両の合計19両が譲渡されました。先頭車に関しては半数が譲渡されたことになります。
富山地方鉄道には1990~1993年に先頭車8組が入線し、10030形となっています。その際に3500型を電装して2M編成となりました。またスカートを撤去しています。

(モハ10037・越中三郷~越中荏原・2014年1月26日)
この電装された車両ですが、床下には主制御器や主抵抗器は見当たりません。どうやらパンタグラフつき車両の主制御器で2両分8個のモーターを制御する1C8M制御となっているようです。
京阪3000系は各電動車に主制御器が搭載され、ひとつの主制御器で4個のモーターを制御する1C4M方式でした。また京阪3000系が登場した頃の京阪電鉄は直流600V電化。京阪3000系は将来の直流1,500V昇圧に備えた複電圧車として製造されました。そして直流600V時代は1C4M方式として低速時は直列制御、中速域から並列制御に切り替える直並列つなぎ(2P2S)で駆動していました。
直流1,500V昇圧後は、1C4M方式のまま永久直列つなぎ(4S)とする方式のほか、電動車を2両一組として1C8M制御2P2S方式にすることも可能でした。結果として京阪は1C4M制御4S方式として昇圧に対応。
どうやら富山地方鉄道入線時に1C8M制御2P2S方式に切り替えたようですね。
と思ったものの、実際そうなのか、主制御器自体が別のものなのかの確認ができていないので、あくまでもここは推測と言うことで(笑
なお富山地方鉄道は1,067mm軌間なので、1,435mm軌間の京阪3000系の台車から営団3000系のFS-336形に交換しました。これは京阪3000系の台車がダイレクトマウント構造のFS-381形だったため、同じダイレクトマウント構造の狭軌用台車として選択したもの。台車とともに主電動機も交換されましたが、その結果定格出力は75kWと、京阪時代の140kWから大幅なパワーダウンとなっています。なおFS336形は振動の問題があった模様で、同じ営団日比谷線用の揺れ枕吊り方式台車のFS-510形に再交換されました。

(モハ10035・稲荷町・2010年1月22日)
この結果ダイレクトマウント構造台車のボルスタアンカ用アームが撤去されています。定格出力は75kWのままです。
また1996~1999年にモハ10039~10041の台車をDT32形に交換しました。

(モハ10043・電鉄富山・2010年1月22日)
これに伴って主電動機もMT54形となり、120kWにパワーアップしています。2012年にはモハ10033+モハ10034が京阪時代の塗装に復元されるにあたり、DT32形に交換されました。
この京阪塗装車に新たに加わったのが2階建てのサハ31形。

(サハ31・越中三郷~越中荏原・2014年1月26日)
2013年に引退した京阪8000系30番代、8830型8831を購入。台車はTR69に振り返られて入線しています。8831の前身となる3000系3800型3805は、1995年の更新修繕工事に際して平屋の3600型を改造したもの。平屋車両を2階建てに改造すると言うことは台枠も含めた大工事となるため、前例はなかったのではと思います。
車端部は種車の台枠と車体を流用。車内もオリジナルの転換クロスシートを配置しています。

(2014年1月26日)
富山地方鉄道入線に際してワンマン設備を備え、同時に補助席を使用停止としています。
扉間は大改造を受けた2階建て空間。

(2014年1月26日)
2階への階段は中央にあり、1階への階段は片側に寄せられています。
ダブルデッカー部分は集団離反式の固定式クロスシートを配置。2階は2+2配列となっています。

(2014年1月26日)
1階は1+2配列です。

(2014年1月26日)
「ダブルデッカーエキスプレス」は特急「うなづき」に使用する際は指定席車として運行されます。

(モハ10034・稲荷町・2014年1月26日)
富山地方鉄道としては来年開業する北陸新幹線による観光需要増大を期待して、「アルプスエキスプレス」ともども活用していく方針のようです。
一方1995年に大井川鐵道にも2両譲渡されました。

(クハ3507・新金谷・2009年5月31日)
こちらはモハ3007+クハ3507の1M1T編成で入線し、譲渡時から京阪カラーを維持しています。なお富山地鉄車同様スカートは撤去されました。
大井川鐵道も狭軌なので台車を営団5000系のFS-502Aに振り替えています。
富山地鉄ではますますの活躍が期待される元京阪3000系ですが、大井川鐵道3000系は老朽化を理由に2014年2月で引退が決まっています。
元京阪3000系の命運は完全に分かれてしまいましたね。