![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/21/numaevo/17/91/j/o0640042712804920953.jpg?caw=800)
(「出羽」キハ58 504・日暮里・1982年)
私鉄の気動車にも搭載され、1977年まで製造されています。
そんなDMH17形エンジン。この型式記号ですが
DM=DieselMotor=ディーゼルエンジン
H=アルファベット8番目=8気筒
17=排気量17リッター
を意味します
戦前に使用されていた排気量17リッターのガソリンエンジン、GMH17形に変わるエンジンとして1935年から開発が始まり、1941年に設計は完了したものの戦局の悪化で中断。戦後の1950年に開発を再開し、機械式気動車用として定格出力150psのDMH17形が実用化。キハ42500形(後のキハ07形)に搭載しました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/22/numaevo/f6/39/j/t02200147_0640042712805056262.jpg?caw=800)
(キハ07 41・九州鉄道記念館・2009年2月19日)
改良は細かく行なわれ、電気式気動車のキハ44000形用のDMH17A形は予熱室式に変更して160psにパワーアップ。さらに液体式変速機に対応設計されたDMH17B形ではインジェクターの噴口数を4つから3つに変更し、定格出力も170psに向上させました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/22/numaevo/e5/35/j/t02200147_0640042712805059761.jpg?caw=800)
(交通科学博物館・2010年3月12日)
DMH17B形以降のエンジンに組み合わされる液体変速機は2種類。当初は神興造機製のTC2形が用意されました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/22/numaevo/73/56/j/t02200147_0640042712805062223.jpg?caw=800)
(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
写真はTC2A形のカットボディです。
後に新潟コンバータ製DMF115形も加わりました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/22/numaevo/22/85/j/t02200147_0640042712805062222.jpg?caw=800)
(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
TC2形とDF115形の構造は異なりますが、フライホイール毎アッシー交換することでエンジンとの互換性を持たせてあります。
DMH17C形では定格出力180psに増強されました。ここまでのエンジンは縦置きシリンダーなので、エンジンヘッドの点検用の蓋が床に設けられています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140106/00/numaevo/ec/55/j/t02200330_0427064012805200809.jpg?caw=800)
(那珂湊・2010年5月24日)
写真はひたちなか海浜鉄道キハ2005のものです。
1960年に製造された特急形気動車キハ80系では騒音や振動対策、点検蓋の廃止などを狙ってシリンダー配置を水平としたDMH17H形を搭載。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140106/00/numaevo/4b/c5/j/t02200146_0640042512805203769.jpg?caw=800)
(糸魚川・2010年2月27日)
Hは水平線を意味するHorizonのHです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140106/00/numaevo/f8/e9/j/t02200147_0640042712805203770.jpg?caw=800)
(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
DMH17H形はキハ80系のほか急行形のキハ58系、キハ52形の後期型、そして客車を改造したキハ40系(初代)にも搭載されていました。
DMH17形エンジンは「カランコロン」というアイドリング音や、空気圧縮機の音など、いろいろ特徴的な部分がありましたが、車両の廃車やエンジン換装が進み、現役エンジンは非常に少なくなっています。
ということで、現役のDMH17形エンジン搭載車を見てみましょう。
水島臨海鉄道
キハ20形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/58/5a/j/t02200147_0640042812804847391.jpg?caw=800)
(キハ203・倉敷貨物ターミナル・2003年4月28日)
現在西日本エリアでDMH17サウンドを聞くことができる唯一の路線。
1986年から1991年にかけて国鉄、JRのキハ20形12両を購入したものです。現存するのは4両ですが、JR東日本から購入したキハ37形、キハ38形によって置き換えられると思われます。
ひたちなか海浜鉄道
キハ200形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/64/f8/j/t02200147_0640042812804847394.jpg?caw=800)
(キハ205・那珂湊~殿山・2002年1月6日)
鹿島臨海鉄道を経て入線したキハ201~204と、水島臨海鉄道から購入したキハ205がありましたが、現役なのはキハ205だけとなっています。
キハ22形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/c2/6e/j/t02200147_0640042712804847903.jpg?caw=800)
(キハ222・那珂湊・2010年5月24日)
元は羽幌炭鉱鉄道のキハ22形。国鉄のキハ22形に酷似していますが、運転台窓に旋回窓が備えられているのが特徴。この旋回窓を持つ営業用気動車はこの車両が唯一。そして現役最古の気動車なのだそうです。
現在は旧一般色になっています。
キハ2000形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/56/9c/j/t02200147_0640042712804847902.jpg?caw=800)
(キハ2004・那珂湊・2010年5月24日)
元は留萌鉄道キハ2000形。羽幌炭鉱鉄道キハ22形同様国鉄キハ22形をベースにしてますが、タイフォンの位置が前照灯脇にあるのが特徴。そして便所を設置していませんでした。キハ2004、キハ2005の2両とも現存していますが、キハ2004は国鉄準急色となっています。
またキハ2005は急行色となりましたが、現在は髭が付いて島原鉄道色になっているようです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/5e/f7/j/t02200147_0640042712804847904.jpg?caw=800)
(キハ2005・那珂湊・2010年5月24日)
ひたちなか海浜鉄道の主力は新型気動車に代わっていますが、まだまだ頑張って欲しいものですよね。
いすみ鉄道
キハ52形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/70/ec/j/t02200147_0640042712804847392.jpg?caw=800)
(キハ52 125・国吉・2013年1月19日)
キハ20系でエンジンを2基搭載するキハ52形。キハ52 125はJR西日本大糸線で活躍した3両のうちの1両です。
キハ28形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/b1/42/j/t02200147_0640042712804848142.jpg?caw=800)
(キハ28 2346・国吉~上総中川・2013年1月4日)
急行形気動車キハ58系の1エンジン車。2000番代は冷房用発電機を搭載。自車を含めて3両分の電源を供給することができます。気がつけば現役唯一のキハ58系なんですよね。
そんな衰退著しいDMH17形ですが、全車がDMH17形エンジンだという私鉄があります。それが小湊鉄道です。
キハ200形
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/7f/3e/j/t02200147_0640042712804847395.jpg?caw=800)
(キハ206・五井・2012年11月10日)
キハ200形は国鉄キハ20形をベースに独自設計された車両で、小湊鉄道の主力となっています。
キハ200形は1961年~1977年までに14両が製造されましたが、製造年次によっていくつかのバリエーションがあるようです。201~206ははプレスドアを採用しています。
そのうち204はベンチレーターを交換して異彩を放っています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/fc/5a/j/t02200147_0640042712804847393.jpg?caw=800)
(キハ204・五井・2012年11月10日)
207以降は扉が変更されました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/24/3d/j/t02200147_0640042712804847901.jpg?caw=800)
(キハ210・五井・2012年11月10日)
そして211以降はユニット窓を採用しています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140105/20/numaevo/c5/4b/j/t02200147_0640042712804847900.jpg?caw=800)
(キハ212・五井・2012年11月10日)
小湊鉄道がDMH17の最後の牙城となるのかどうかはともかく、DMH17形エンジンの聖地が千葉県であることは間違いなさそうです。