国鉄の定番エンジンだったDMH17形の今 | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

国鉄形気動車の定番ディーゼルエンジンがDMH17形。1951年から製造が始まり、改良を続けながら一般形気動車から特急形気動車まで幅広く採用されました。

(「出羽」キハ58 504・日暮里・1982年)
私鉄の気動車にも搭載され、1977年まで製造されています。
そんなDMH17形エンジン。この型式記号ですが
DM=DieselMotor=ディーゼルエンジン
H=アルファベット8番目=8気筒
17=排気量17リッター
を意味します
戦前に使用されていた排気量17リッターのガソリンエンジン、GMH17形に変わるエンジンとして1935年から開発が始まり、1941年に設計は完了したものの戦局の悪化で中断。戦後の1950年に開発を再開し、機械式気動車用として定格出力150psのDMH17形が実用化。キハ42500形(後のキハ07形)に搭載しました。

(キハ07 41・九州鉄道記念館・2009年2月19日)
改良は細かく行なわれ、電気式気動車のキハ44000形用のDMH17A形は予熱室式に変更して160psにパワーアップ。さらに液体式変速機に対応設計されたDMH17B形ではインジェクターの噴口数を4つから3つに変更し、定格出力も170psに向上させました。

(交通科学博物館・2010年3月12日)
DMH17B形以降のエンジンに組み合わされる液体変速機は2種類。当初は神興造機製のTC2形が用意されました。

(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
写真はTC2A形のカットボディです。
後に新潟コンバータ製DMF115形も加わりました。

(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
TC2形とDF115形の構造は異なりますが、フライホイール毎アッシー交換することでエンジンとの互換性を持たせてあります。

DMH17C形では定格出力180psに増強されました。ここまでのエンジンは縦置きシリンダーなので、エンジンヘッドの点検用の蓋が床に設けられています。

(那珂湊・2010年5月24日)
写真はひたちなか海浜鉄道キハ2005のものです。

1960年に製造された特急形気動車キハ80系では騒音や振動対策、点検蓋の廃止などを狙ってシリンダー配置を水平としたDMH17H形を搭載。

(糸魚川・2010年2月27日)
Hは水平線を意味するHorizonのHです。

(北海道鉄道資料館・2009年6月13日)
DMH17H形はキハ80系のほか急行形のキハ58系、キハ52形の後期型、そして客車を改造したキハ40系(初代)にも搭載されていました。

DMH17形エンジンは「カランコロン」というアイドリング音や、空気圧縮機の音など、いろいろ特徴的な部分がありましたが、車両の廃車やエンジン換装が進み、現役エンジンは非常に少なくなっています。
ということで、現役のDMH17形エンジン搭載車を見てみましょう。

水島臨海鉄道
キハ20形

(キハ203・倉敷貨物ターミナル・2003年4月28日)
現在西日本エリアでDMH17サウンドを聞くことができる唯一の路線。
1986年から1991年にかけて国鉄、JRのキハ20形12両を購入したものです。現存するのは4両ですが、JR東日本から購入したキハ37形、キハ38形によって置き換えられると思われます。

ひたちなか海浜鉄道
キハ200形

(キハ205・那珂湊~殿山・2002年1月6日)
鹿島臨海鉄道を経て入線したキハ201~204と、水島臨海鉄道から購入したキハ205がありましたが、現役なのはキハ205だけとなっています。

キハ22形

(キハ222・那珂湊・2010年5月24日)
元は羽幌炭鉱鉄道のキハ22形。国鉄のキハ22形に酷似していますが、運転台窓に旋回窓が備えられているのが特徴。この旋回窓を持つ営業用気動車はこの車両が唯一。そして現役最古の気動車なのだそうです。
現在は旧一般色になっています。

キハ2000形

(キハ2004・那珂湊・2010年5月24日)
元は留萌鉄道キハ2000形。羽幌炭鉱鉄道キハ22形同様国鉄キハ22形をベースにしてますが、タイフォンの位置が前照灯脇にあるのが特徴。そして便所を設置していませんでした。キハ2004、キハ2005の2両とも現存していますが、キハ2004は国鉄準急色となっています。
またキハ2005は急行色となりましたが、現在は髭が付いて島原鉄道色になっているようです。

(キハ2005・那珂湊・2010年5月24日)
ひたちなか海浜鉄道の主力は新型気動車に代わっていますが、まだまだ頑張って欲しいものですよね。

いすみ鉄道
キハ52形

(キハ52 125・国吉・2013年1月19日)
キハ20系でエンジンを2基搭載するキハ52形。キハ52 125はJR西日本大糸線で活躍した3両のうちの1両です。

キハ28形

(キハ28 2346・国吉~上総中川・2013年1月4日)
急行形気動車キハ58系の1エンジン車。2000番代は冷房用発電機を搭載。自車を含めて3両分の電源を供給することができます。気がつけば現役唯一のキハ58系なんですよね。

そんな衰退著しいDMH17形ですが、全車がDMH17形エンジンだという私鉄があります。それが小湊鉄道です。
キハ200形

(キハ206・五井・2012年11月10日)
キハ200形は国鉄キハ20形をベースに独自設計された車両で、小湊鉄道の主力となっています。
キハ200形は1961年~1977年までに14両が製造されましたが、製造年次によっていくつかのバリエーションがあるようです。201~206ははプレスドアを採用しています。
そのうち204はベンチレーターを交換して異彩を放っています。

(キハ204・五井・2012年11月10日)
207以降は扉が変更されました。

(キハ210・五井・2012年11月10日)
そして211以降はユニット窓を採用しています。

(キハ212・五井・2012年11月10日)
小湊鉄道がDMH17の最後の牙城となるのかどうかはともかく、DMH17形エンジンの聖地が千葉県であることは間違いなさそうです。