
(クハ204-3・鶯谷・1987年3月)
201系の左右非対称前面窓とジンカート処理、そして203系のライト配置を踏襲しながらシンプルな顔立ち。また、戸袋窓は廃止されたものの側窓は相変わらず2段窓だったのが、いかにも国鉄形らしいと思いました。

(クハ205-3・海浜幕張・2010年11月12日)
車体は国鉄形電車で初めてオールステンレス構造を採用しました。これは国鉄が支援して東急車輛製造が研究開発したもので、コルゲートのない車体は、有限要素法という強度解析で強度と薄さを両立させています。なおこの技術は国鉄の要望で各メーカーに開示されたため、東急車輌製造以外でもオールステンレス車体の製造が可能となったことも大きなトピックです。
走行システムは新開発された界磁添加励磁制御方式のCS57形主制御器(写真左)を搭載。さらにHS52形励磁装置(写真右)によって主回路を構成しています。

(海浜幕張・2010年11月12日)
HS52形はサイリスタとダイオードを組み合わせた三相混合ブリッジとバイパスダイオードなどで構成され、弱め界磁制御と回生ブレーキ使用時電動発電機(MG)からの三相交流電源を使用して界磁制御を行ないます。
これによって直流直巻電動機で安定した回生ブレーキの使用が可能となりました。その主電動機は713系で採用されたMT61を搭載。駆動方式はもちろん中空軸カルダン駆動です。

(東京総合車両センター・2009年8月22日)
台車は新開発の軽量ボルスタレス台車DT50/TR235を装着しています。

(大宮総合車両センター・2008年5月24日)
基礎ブレーキは電気指令式空気ブレーキを初採用。また、国鉄形電車としては初めて半永久連結器を採用しましたが、これも軽量化に貢献しています。
205系の開発期間は非常に短いのですが、その割に新開発されたシステムが多いのは、これらが次期近郊形電車用としてすでに開発されていたものだったからです。結果的として205系は国鉄末期の技術の集大成みたいな存在になりました。
205系の本格的量産は第5編成からですが、この編成からは一段下降窓を採用して垢抜けたスタイルとなりました。

(クハ205-33・鶯谷・1987年4月)
このころの私鉄車両は1段下降窓が主流になりつつありましたが、国鉄では157系、急行形グリーン車などの1段下降窓車が雨水の浸入で車体を腐食させて寿命を縮めたこともあって、一段下降窓を意図的に避けていました。しかしステンレス車体で腐食の心配がなくなったことで、一気に一段下降窓が普及していくことになります。
そんな国鉄末期を象徴した存在の205系でしたが、結構利用した割にはこの頃の写真はほとんどなかったりします。