その第1陣として登場した715系0番代の実車を見てさらにびっくりさせられました。

(クハ715-10・博多・1984年8月)
改造費を徹底的に抑制したため、既存の700mm幅の2枚折戸はそのまま使用し、2枚折戸を増設して2扉化。一部窓は2段窓化されています。車内はセミクロスシートとなりましたが、ボックスシートは種車のものをそのまま使用しました。偶数向き先頭車にはトイレが設置されていますが、これも種車にあった2箇所のトイレの内の1箇所を使用し、もう1箇所は閉鎖。洗面台も化粧板でカバーしただけとなっています。
715系は4両編成で、偶数向き先頭車の多くはクハネ581形を改造して使用されましたが、偶数向き先頭車の不足分と奇数向き先頭車はサハネ581形に運転台ユニットを結合したクハ714形、クハ715形100番代となりました。
この改造先頭車のインパクトがさらに強烈でした。

車両限界一杯の車体断面に荷物車然とした前面。当時鉄道ファン誌では「国電ひょうきん族」として大々的な特集を組んでいました。若い世代には食パンと呼ばれているようで、ジェネレーションギャップを感じますね(笑)
715系0番代の中間電動車は581系を改造。この結果モハネ581形、モハネ580形は形式消滅しました。
1985年には仙台地区向けに583系を改造した715系1000番代が登場しています。改造内容は0番代と同様ですが、寒冷地対策を施したほか、50Hz区間を走行するため中間電動車の種車が583系となりました。
この715系ですが、近郊形電車とは言え扉幅が狭くて使用線区のラッシュ時に対応できなくなり、いずれも1998年までに全廃。1000番代には一度も会えずじまいでした。
全廃された715系ですが、クハ715-1が小倉工場に保管されていました。後に外観を特急色とし車号をクハネ581-8とされて九州鉄道記念館に保存されています。

(クハ715-1・九州鉄道記念館・2009年8月23日)
塗色と形式車号は581系ですが、車体形状と車内は715系のまま。これも715系らしい保存方法なのかも知れません。