高架化されただけでも大きな変化なのに札幌圏の主役となった1988年に登場した721系はも札幌圏の変化を象徴するような存在でした。

(「空港ライナー」クモハ721-5・1989年8月)
従来北海道仕様といえばデッキ付き2扉構造が基本でしたが、人口が増加している札幌圏では乗降時間がかかり、遅延の原因となっていました。これを解決したのが721系で、デッキ付きながら3扉構造を採用。しかもステンレス車体の冷房車となにもかもが新鮮でした。
北海道では鋳鉄制輪子を使用する関係で最高速度を100km/hに制限されていましたが、苗穂工場の鋳鉄制輪子研究の結果、120km/hを実現。781系も本来の性能を発揮することができるようになりました。

(「ホワイトアロー」クモハ781・1989年8月)
この頃の781系は「ライラック」「ホワイトアロー」で活躍。4両編成化されていましたが、多客時には2編成連結の8両編成でも運転されていました。

(「ライラック」クモハ781-103・札幌・1989年8月)
北海道特急の代表格であるキハ183系はJR北海道が投入した550番代の他、国鉄時代末期の1986年に投入された500番代が主力として活躍。

(「おおぞら」キハ183-550・札幌・1989年8月)
新塗色を初めて採用したのもこのグループです。
多地区同様キハ183系0番代にも先頭車化改造車が存在しましたが、分割併合を考慮した結果独特な形状となっています。

(「オホーツク」キハ183-103・札幌・1989年8月)
種車は電源車のキハ184形。キハ183系とキハ82系が面白い感じで融合していますね。
そしてJR北海道といえばリゾート気動車。その嚆矢がキハ59系「アルファコンチネンタルエクスプレス」です。

(キハ59 2・札幌・1989年8月)
1985年にキハ56系を改造して誕生。開発、改造は苗穂工場が担当しましたが、斬新なハイデッキ展望構造は話題を呼びました。
1995年に老朽化のため廃車されましたが、先頭車キハ59 1の前頭部は苗穂工場内の鉄道技術館で保存され、キハ59 2は千歳市内の牧場に譲渡され、大切に保存されています。
リゾート気動車第2弾はキハ80系を改造したキハ84系「フラノエクスプレス」。これは「ホワイトアロー」に乗車して旭川まで行って撮影しました。

(キハ84 2・旭川・1989年8月)
「フラノエクスプレス」は1986年に苗穂工場で改造。キハ80系の面影は先頭車の平屋部分の窓に残っているかなという程度でした。なお「フラノエクスプレス」は鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞していますが、これは北海道の鉄道車両としては初となりました。
「フラノエクスプレス」は1998年に運用離脱して、2004年に廃車。現在苗穂工場に先頭車が1両保管されています。旭川駅も高架化されて雰囲気がすっかり変わってしまいましたね。
リゾート気動車第3弾は「フラノエクスプレス」同様キハ80系を改造した「トマムサホロエクスプレス」。

(キハ84 102・札幌・1989年8月)
普通車はオールハイデッキ構造となり、1988年には食堂車まで組み込んでいました。
2002年に廃車となり、やはり先頭車1両が苗穂工場内で保管されています。
そして1988年には苗穂工場はキハ183系5000番代「ニセコエクスプレス」を新造しています。

(キハ183-5001・苗穂・1989年8月)
JR車両としてプラグドアを採用したのが特徴です。この編成はまだ現役で活躍中。
キハ56系の急行列車もまだ残っていました。「そらち」は1986年に「かむい」の気動車列車1往復を分離させたもので、札幌~富良野・新得間に運転されました。このうち急行区間は札幌~滝川間でした。

(「そらち」キハ56 127・札幌・1989年8月)
なお711系電車の「かむい」は1986年に廃止。1988年には「そらち」に統合されましたが、1990年に「そらち」も特急格上げで廃止されました。
根室本線経由の急行「狩勝」もキハ56系で運転。

(「狩勝」キハ56 132・札幌・1989年8月)
1950年に函館~釧路間に運転された準急列車がルーツという伝統ある列車でしたが、石勝線開業後も根室本線の急行として運転されていましたが1990年に廃止されました。
この頃は夜行列車も成長期。青函トンネル開業時には「北斗星」を定期列車2往復、季節列車1往復設定しましたが、さらに補完列車として「エルム」を臨時設定するという盛況ぶりでした。また恵比寿~白石間にカートレインが運行されていました。

(「カートレイン」DD51 1083・白石・1989年8月)
24系25形客車とワキ10000形貨車を使用していましたが、24系は本州仕様の銀帯でした。
いろいろな列車が行き交う札幌圏ですが、この頃はまだまだ711系も主力でした。

(クハ711-32・白石~厚別・1989年8月)
北海道の雪に強い電車を印象づけた711系がいたからこそ、現在の札幌圏鉄道輸送網があるのではないかと思います。