
(「こまち」E322-6・大宮・2012年9月18日)
1997年の秋田新幹線開業時から「こまち」として活躍しているE3系0番代は現在26編成在籍していますが、このR6編成が離脱第1号となったようです。
実はこのE3系0番代。少数派ながら製造年次で結構差異があるのが特徴的です。ここでは軽くE3系0番代を見てみることにしましょう。
R1編成は1995年にS8編成として製造された量産先行車。試験終了後量産化改造されてR1編成となりました。

(「やまびこ」E322-1・大宮・2012年9月18日)
川崎重工業で製造。アルミシングルスキン構造の車体を持ち、GTO素子のVVVFインバータ制御で300kW出力のMT205三相交流誘導電動機を駆動します。5両編成を組んで11号車がグリーン車、12、13号車が普通車指定席でシートピッチが980mm、14、15号車は普通車自由席でシートピッチが910mmと差別化されていました。
製造当初は下枠交差形パンタグラフを搭載していましたが、275km/h運転時の騒音対策と、在来線走行時の車両限界の関係から可動式パンタグラフカバーが搭載されていました。しかしカバーの可動機構が故障すると運転が不可能となるため、低騒音シングルアームパンタグラフPS206を開発。その結果パンタグラフカバーは廃止されて小型の碍子カバーのみで275km/h運転を可能としています。
碍子カバーは11~12号車、13~14号車に装備されていましたが、1998年10月29日にE328を14号車に挿入して6両編成化。その際にケーブルヘッドなどの関係で、碍子カバーが11~12号車、13~14号車、14~15号車の3箇所になっています。これは5両編成で製造された量産車R2~16編成も同様。またR1~17の5両編成は秋田新幹線車両保有株式会社がJR東日本にリースしていましたが、増結車はJR東日本の保有でした。なおリースは2010年3月21日で終了し、現在はJR東日本に有償譲渡されています。ちなみにR1編成の増結車は東急車輌製。
またR1~17編成は11号車にフルアクティブサスペンション、12~16号車にセミアクティブサスペンションを追加装備しました。
秋田新幹線の開業に備えて1996年からE3系量産車R2~編成が製造されました。量産車では先頭先端が膨らんだ形状となり、前照灯と尾灯が一体化するなど外観上でも大きく変化しています。
R2編成

(「こまち」E322-2・那須塩原・2011年11月19日)
1996年10月9日に川崎重工業で製造。増結車は東急車輌製造製です。
E4系を追い越すE3系もすでに過去の姿ですね。
R3編成

(「なすの」E322-3・那須塩原・2011年11月19日)
1996年10月14日に川崎重工業で製造。増結車は東急車輌製造製です。
R4編成

(「こまち」E322-4・那須塩原・2011年5月7日)
1996年10月22日に川崎重工業で製造。増結車は東急車輌製造製です。
R5編成

(E311-5・新幹線総合車両センター・2010年7月24日)
1996年10月28日落成。全車東急車輌製造製です。
R6編成

(「こまち」E322-6・東京・2004年2月8日)
1996年11月6日落成。全車東急車輌製造製です。
R7編成

(「こまち」E322-7・宇都宮・2008年11月26日)
1996年11月11日落成。全車川崎重工業製です。
R8編成

(「こまち」E322-8・宇都宮・2008年11月19日)
1996年11月15日落成。全車川崎重工業製です。
R9編成

(「こまち」E322-9・那須塩原・2011年11月19日)
1996年11月22日落成。全車川崎重工業製です。
R10編成

(「なすの」E322-10・東京・2010年9月3日)
1996年12月2日落成。全車川崎重工業製です。
R11編成

(「やまびこ」E322-11・那須塩原・2011年11月19日)
1996年12月12日落成。全車東急車輌製造製です。
R12編成

(「こまち」E322-12・宇都宮・2008年11月26日)
1996年12月21日落成。全車東急車輌製造製です。
R13編成

(E322-13・小山車両基地・2012年5月19日)
1997年1月10日落成。全車東急車輌製造製です。
R14編成

(「こまち」E322-14・那須塩原・2012年9月18日)
1997年1月30日落成。全車東急車輌製造製です。
R15編成

(「こまち」E322-15・大宮・2012年12月10日)
1997年2月7日落成。全車東急車輌製造製です。
R16編成

(「こまち」E322-16・大宮・2012年12月10日)
この編成だけまともに撮れていないようです。1997年2月17日落成。全車東急車輌製造製です。
このR16編成までが秋田新幹線の開業にあわせて製造されました。
1998年、E3系の6両編成増結化による予備車不足対策と増発に備えて1編成のみ増備されました。それがR17編成です。

(「こまち」E311-17・仙台・2011年11月19日)
1998年9月30日に東急車輌製造で製造されました。登場時より6両編成だったため、碍子カバーは11~12号車と14~15号車の2箇所のみとなっています。またワイパーは非常用が追加されて2本になりました。などR17編成以降は全車JR東日本の保有車となっています。ちなみに最後のGTO素子VVVFインバータ編成でもあるなど、いろいろ特異性を持っているのがR17編成です。
2002年には200系H編成の淘汰と「こまち」増発用として、E3系がまた増備されました。
R18編成は2002年10月23日に川崎重工業で製造されています。

(「こまち」E211-18・東京・2010年11月3日)
E2系は1000番代にモデルチェンジしてアルミダブルスキン構造を全面的に採用しましたが、E3系はアルミシングルスキン構造のままでした。しかし11号車にフルアクティブサスペンション、12~16号車にセミアクティブサスペンションを標準装備。VVVFインバータ制御装置もIGBT素子に変更されています。
また全車指定席となったため普通車のシートピッチは980mmに統一されたほか、フットレストと座面スライド機構を備えています。
R19編成

(「やまびこ」E322-19・那須塩原・2011年5月7日)
2002年11月18日落成。川崎重工業で製造されました。
R20編成

(「こまち」E322-20・那須塩原・2012年9月18日)
2003年3月24日落成。全車川崎重工業で製造されました。
R21編成

(「こまち」E311-21・盛岡・2011年11月19日)
2003年9月16日落成。全車川崎重工業製です。
R22編成

(「なすの」E322-22・東京・2010年9月3日)
2003年10月23日落成。全車川崎重工業製です。
R23編成

(「こまち」E322-23・那須塩原・2011年5月7日)
2003年12月1日落成。全車川崎重工業製です。
R24編成

(「なすの」E322-24・那須塩原~新白河・2012年9月14日)
2005年4月4日落成。全車川崎重工業製です。R24編成以降は車内が若干マイナーチェンジされています。
R25編成

(「こまち」E322-25・宇都宮・2009年10月3日)
2005年7月11日落成。全車川崎重工業製です。
R26編成

(「こまち」E322-26・宇都宮・2010年2月5日)
2005年7月25日落成。全車川崎重工業製です。
E6系0番代は2014年までにE6系に置き換えられることになっていますが、R24~26編成は車齢9年ほどなので引退するには早すぎる気がしますね。
ちなみに山形新幹線用のE3系1000番代L51、52編成が1999年製造でR18編成以降よりも古い編成です。

(「つばさ」E322-1001・東京・2008年11月26日)
ひょっとしたらR編成を7両編成化してL51、52編成を置き換えたりすることになったりするかもしれませんね。
そしてE3系ベースの総合電気検測車E926形East-iは既に最後の全検を済ませています。

(E926-6・新幹線総合車両センター・2012年10月6日)
次期East-iはE6系ベースとなるらしいので、こちらの今後も気にしておきたいですね。