【国鉄形電車の思い出】Part55 交直流急行形の決定版だった455系グループ | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

455系、457系、475系(以下455系グループ)は勾配線区に対応した交直両用急行形電車で抑速ブレーキを搭載した、いわば165系の交直両用版とも言える系列です。
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(クモハ475-46・津幡~倶利伽羅・2011年2月8日)
抑速ブレーキを装備するため主制御器はCS15Bを搭載。
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(クモハ455-1・鉄道博物館・2009年5月13日)
CS15はノッチ戻しも可能なため、登坂時の運転がスムーズになります。ちなみに451、453、471、473系(以下451系グループ)のCS12ではノッチ戻しができないため、ノッチを1段落とすためには一旦ノッチオフする必要があります。その結果一瞬加速が止まって再加速するという「ノコギリ運転」となってしまいましたが、ノッチ戻しができるCS15では普通にノッチを1段落とすだけで大丈夫です。
MC44主幹制御器(マスターコントローラー)も抑速ブレーキに対応しています。
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(クモハ455-1・鉄道博物館・2010年2月5日)
マスコンハンドルを時計回りに回すと力行、反時計回りに回すと抑速ブレーキとなります。
主抵抗器も容量を増大したMR52Aを搭載しました。
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(クモハ457-17・金沢・2004年8月9日)
その関係で床下スペースが狭くなったため空気圧縮機をM’車に移設しました。
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(モハ454-8・陸前山王・2008年4月5日)
容量は451系グループの1,000ℓ/minから2,000ℓ/minに倍増させています。

455系グループはKE76ジャンパ連結器が3組装備されています。このうち写真右側の1組が抑速ブレーキ制御用の回路で、残り2本は451系グループのKE58と共通仕様で違和感なく混結可能となっています。これは455系グループが451系グループの増備車という意味合いもあったためだそうです。
もちろん混結時はノッチ戻しや抑速ブレーキは使用できなくなります。
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(クモハ475-46・倶利伽羅・2011年2月8日)
また北陸本線では現在抑速ブレーキを使用していないため、抑速ブレーキ回路用ジャンパ連結器を外しています。

1965年に登場した455系は東北本線盛岡電化開業用として登場した50Hz仕様車。
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(クモハ455-32・陸前山王・2008年4月5日)
主変圧器は453系、483系、403系に搭載されているもの同系統のTM9を搭載しています。
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(モハ454-4・鉄道博物館・2009年5月13日)
鉄道博物館に保存されているモハ454-4の主変圧器の銘板はTM9C形となっていますね。こちらが海側(東海道線基準)になります。

475系は鹿児島本線熊本電化用と北陸本線向け急行形の増備として登場した60Hz仕様車。
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(クモハ475-42・富山・2005年3月29日)
モハ474には60Hz用の主変圧器TM10が搭載されています。
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(モハ474-45・富山鉄道部・2009年6月25日)
主変圧器の山側はこのような形状になっています。

1969年には50/60Hz両対応の457系が製造されました。
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(クモハ457-8・大分鉄道事業部・2005年8月28日)
主変圧器は485系などと同様50/60Hz両対応のTM14を搭載しています。
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(モハ456-19・富山鉄道部・2009年6月25日)
457系は東北、北陸、九州の各地区に配置されました。

そんな455系グループですが、急行列車として活躍していた姿は東北線系統でしか見たことがありません。1979年に宇都宮の従兄弟宅から帰京する際に「まつしま」に初めて乗車しましたが、満席でデッキに立っていた記憶しかありませんでした。

その1年後の1980年。会津若松の幼なじみ宅に寄った際、会津若松で「ばんだい」を見ました。「ばんだい」は上野~会津若松・喜多方間で運転されていた急行列車です。
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(「ばんだい」クハ455-34・会津若松運転区・1980年8月)
この頃の「ばんだい」は夜行列車1往復を含めて6往復運転され、磐越西線ではわずか1往復だった「あいづ」を尻目に主役座に君臨していました。この夏も気動車や客車による臨時「ばんだい」が多数運転されていたようです。

1982年8月は宇都宮の従兄弟宅をベースに東北本線を撮影。メインとなる特急に混ざって455系急行もやって来ました。
代表格は上野~仙台間の「まつしま」で4往復設定されていました。
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(「まつしま」クモハ455-46・雀宮~宇都宮・1982年8月)
代表格といいながら「ばんだい」の6往復より少ないのは「いわて」「あずま」と合わせて東北系統の急行体制を築いていたからです。

そんな東北系統の急行と併結していたのが「ばんだい」。
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(「ばんだい」クハ455-71・雀宮~宇都宮・1982年8月)
東北系統の急行の上野より編成はほとんど「ばんだい」でした。

「あずま」は2往復設定されていました。
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(「あずま」クモハ455・雀宮~宇都宮・1982年8月)
2往復中1往復は上野~福島間の昼行急行で、もう1往復は上野~仙台間の夜行急行。夜行の福島~仙台間は普通列車として運転。「あずま1号」以外は「ばんだい」と併結していました。

上野~盛岡間に運転された「いわて」は下り2本上り1本という変則設定。
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(「いわて」クモハ455-37・雀宮~宇都宮・1982年8月)
「いわて3号」夜行でした。この頃は夜行運転が多かったですね。なお上り1本は「なすの4号」が455系を使用していましたので上野基準では455系東北急行は8往復となります。

奥羽本線には定期列車はありませんでしたが、臨時「ざおう」として上野~山形間に運転されていました。
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(「ざおう」クハ455-52・雀宮~宇都宮・1982年8月)
窓越しに見える客室から立ち席客がいるほどの混雑ぶりがわかります。
東北本線の急行は455系だけではなく、165系やキハ58系、臨時では12系や14系座席車も使用され賑わっていましたが、東北新幹線の開業でどんどん寂しくなっていきました。