京阪テレビカーがいよいよ引退するそうで | はやこま すていしょん!

はやこま すていしょん!

更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

京阪電鉄が8000系30番台の平成25年春引退を発表し、スペシャルサイトを開設しましたね。
8000系30番台というのは、京阪テレビカーと呼ばれた旧3000系のことを指すのですが、実は自分が初めて乗車した京阪電車こそ、この京阪旧3000系の特急だったりします。
$はやこま すていしょん!
(クハ3505・祇園四条・1985年6月)
高校2年の修学旅行の際、京都のホテルをベースとして京都、奈良、大阪、神戸を自由に移動できるという日があり、自分は近鉄ビスタカーで奈良へ行き、その後近鉄で鶴橋に出てから国鉄関西線平野へ行って113系関西線快速を撮影したりしたのですが、大阪から京都まで乗車したのが京阪3000系だったのです。
ライバルがひしめく中なぜ京阪3000系だったのかというと、テレビカーだったからに他ならず(笑)。国鉄117系は今ひとつ好きになれず、そして阪急6300系は関東人としては地味に感じていました。
で、いざ乗ってみたらどうだったかというと、20インチカラーテレビの存在を確認したと言うこと以外あまりに印象が残っていなかったり(汗

というわけで京阪3000系テレビカーを超駆け足で勉強してみました。
製造時期は1971(昭和46)~1973(昭和48)年までで3次に分けて58両を製造。当時は直流600Vでしたが将来の1,500Vへの昇圧を考慮して設計されました(実際の昇圧は1983年)。
2扉転換クロスシート車。シートピッチは900mmで空気圧による自動転換が可能。
テレビは三条向き先頭車(クハ3500)に設置。
8,500kcal/h容量の三菱電機CU-13形集約分散式ユニットクーラーを4基搭載。このスペースを確保するためにパンタグラフは下枠交差形の東洋電機PT-4805Aを搭載。
界磁位相制御方式を採用して回生ブレーキを使用可能としました。
モーターは175kWと破格の出力を発揮する東洋電機TDK-8160-Aを搭載。直流600V時でも140kWを発揮していました。
駆動方式は東洋電機お得意の中空軸平行カルダン駆動。スペースを取らないため国鉄のような狭軌(1,067mm軌間)では流行しましたが、京阪の様な標準軌1,435mmでは珍しいのでは?
台車京阪発のダイレクトマウント構造ボルスタ台車を採用し、電動車は住友金属工業FS-381、制御車は汽車製造KS-132系。中間付随車は電装準備のFS-381Bと異なる台車を装着していました。
ブレーキ関係では、1次車が旧型の1900系と混結を想定して、AR-LD自動空気ブレーキを採用していたのに対して、2次車以降は全電気指令式空気ブレーキHRD-1系となり操作性、応答性共に向上(1次車も後に改造)。

京阪3000系は1989(平成元)年に登場した8000系の増備によって1990(平成2)年から廃車が始まりました。残った編成は1995(平成7)年に実施された車体改修工事の際に中間車を2階建てに改造。さらに8両固定編成化の際には先頭車2両を切り接ぎ溶接して改造するなどまるでNゲージみたいな改造を実施したようです。さらに制御装置などの機器類を更新。そして2008(平成20)年には8000系30番台に編入されました。

そんなワケで縁があるようなないような京阪3000系なのですが、譲渡先では何度も遭遇したので、意外と馴染み深かいのかもしれません。

富山地方鉄道には1990(平成2)~1993(平成5)年までに2両編成8本16両が譲渡され、10030系となりました。
$はやこま すていしょん!
(モハ10035・稲荷町・2010年1月22日)
ただし京阪は標準軌の1,435mmに対して、富山地鉄は狭軌の1,067mmなので、台車とモーターは営団日比谷線3000系のものを流用しています。当初は京阪3000系のダイレクトマウント用のアーム類を流用するために、ダイレクトマウント構造のFS-336を装着していましたが、乗り心地に難があったのか、同じ日比谷線3000系用の揺れ枕吊り方式(スイングハンガー)のFS-510に変更され、初期の台車も交換されました。モーターは75kW出力の三菱電機MB-3054系なので、京阪時代よりかなりパワーダウンしていますね。

また第5編成以降は、JR485系のインダイレクトマウント構造台車DT32と120kWのMT54モーターに変更されて実質的なパワーアップを果たしています。
$はやこま すていしょん!
(モハ10043・電鉄富山・2010年1月22日)
塗色は富山地鉄オリジナルの緑+黄色となり、地元ではカボチャ電車と呼ばれているらしいです。

大井川鐵道には1995(平成7)年5月に1編成2両が転入。やはり狭軌用のダイレクトマウント構造台車として営団5000系のFS-502Aを装着。モーターも100kW出力のMM-5Aを使用しています。
$はやこま すていしょん!
(クハ3507・新金谷・2009年5月31日)
こちらはワンマン化されていますが、テレビカー時代の塗装を維持。来年以降はテレビカーの面影を伝える存在となることでしょう。

ところで京阪8000系30番台となった編成の元番号は3505-3105-3205-3805-3755-3655-3155-3055だそうです。これは偶然にも自分が乗車し、なおかつ撮影した先頭車が含まれていました。その後、京阪3000~8030系には巡り会ってはいないのですが、生き残っている編成が、自分が乗車した唯一の3000系ということなので、ちょっと奇妙な縁を感じてしまいました。
チャンスがあれば行ってみようかな。