【国鉄形電車の思い出】(番外編2)新性能電車第2世代の思い出話の前に | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

自分の個人的分類でMT46モーター搭載車を国鉄新性能電車第1世代として思い出話をしてきましたが、次回からは国鉄新性能電車第2世代の思い出話をしたいと思います。
ちなみに個人的分類での新性能電車第2世代とは、1963(昭和38)年に登場する103系、113系、115系、165系以降381系までに登場した系列と勝手に位置づけました(笑

第2世代最大のポイントとなるのはMT54モーターの登場です。
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(富士急行 富士吉田車庫・2010年1月26日)
MT54はMT46よりも出力を20kWアップした120kWとなりました。この結果特急形電車は歯車比1:3.50のままで上越線の20‰上り勾配を登り切ることが可能となっています。
一方第2世代では通勤形電車103系向けに特性を変えたMT55(110kW出力)も開発するなど、仕様を無理矢理統一することはやめています。
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(東京総合車両センター・2009年8月22日)
なお第1世代同様中空軸平行カルダン駆動を採用。

主制御器も用途に合わせて3種類となりました。平坦線区向けには第1世代に引き続きCS12を搭載していますが、モーターの出力増強に対応させて主抵抗器共々容量が増加しています。
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(木更津・2011年8月28日)

新たに登場したのがCS15です。CS12と同じく電動カム軸式抵抗制御器で、直列全界磁13段、並列全界磁11段、そして並列弱め界磁4段となっています。もちろん発電ブレーキ付ですが、CS15は山岳線区に対応させてノッチ戻し制御と抑速発電ブレーキを搭載しました。
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(勝田・2009年6月3日)

ノッチ戻し制御は、例えば5ノッチで力行中に、4ノッチに落としてもそのまま制御できる機構です。CS12にはノッチ戻し制御が備わっていなかったため、5ノッチから4ノッチにするためには一旦ノッチオフしなければならず、その結果のこぎり運転というぎくしゃくした走行となっていました。
抑速発電ブレーキは157系や161系にも採用されていましたが、CS15は全面的に採用しています。
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(富士急行 河口湖・2010年1月26日)
写真が抑速ブレーキ使用時のマスコン位置で、力行時と逆にマスコンを回すのが特徴です。

主抵抗器も容量が増加したため、特急形でも強制通風方式に変更されました。
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(長野・2009年7月30日)

通勤電車向けにはさらに新しい主制御器、CS20が設計されています。
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(岡山電車区・2009年8月19日)


台車に関してはさらに細分化されました。近郊形はDT21系をそのまま発展させています。
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(木更津・2011年8月28日)

103系用台車は、動力台車が車輪径をΦ910mmに拡大し、ブレーキシューを片押し式としたDT33を装着し付随台車はTR62のディスクブレーキを踏面片押し式としたTR201を装着。のちにディスクブレーキ付のTR212に発展しました。
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(岡山電車区・2009年8月19日)

一番変化があるのは急行、特急形の台車で、DT32系にモデルチェンジしました。
DT32
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TR69
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(大宮総合車両センター・2010年5月22日)
DT32系は構造から大きく変わり、揺れ枕吊り式からインダイレクトマウント式に変更されました。インダイレクトマウント式は台車枠の上に枕バネ(空気バネ)が載り、その上に揺れ枕(ボルスタが載る構造で、スイングハンガー式よりもかなりシンプルな構造になっています。
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(富士急行 富士吉田車庫・2010年1月26日)

車体を支持するのは大径心皿1箇所のみ。
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(富士急行 富士吉田車庫・2010年1月26日)

側受がない分の車体の揺れを抑えるため、トーションバー式のアンチローリング装置が設けられました。
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(鉄道博物館・2009年5月13日)

ボルスタアンカは標準装備。
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(鉄道博物館・2009年5月13日)
DT32系台車のアイデンティティだったL字型のボルスタの形状は、ボルスタアンカを取り付けるアームだったのですね。

軸箱支持装置は従来通りペデスタルウイング式ですが、新たにオイルダンパを併用しました。
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(鉄道博物館・2009年5月13日)
なおDT32系台車は1962(昭和37)年に第1世代の451、471系で先行投入されていますが、以後改良を重ねながら新性能電車第2世代の台車として展開していくことになります。

このように新性能電車第2世代では通勤形と近郊形、急行形、特急形、そして平坦線区向けと山岳線区向けでシステムが異なるのが特徴です。さらに1M方式やアルミ車301系、交流電車711系など、独特のシステムを持つ系列も存在するなど、結構興味深い世代といますね。

次回からはいよいよ第2世代の思い出話に入って行きます。