【え】英名二十八衆句(えいめいにじゅうはっしゅうく) | 公辞苑(ハムじえん)【第二版】

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英名二十八衆句・・・
落合芳幾月岡芳年による浮世絵の連作で、講釈や歌舞伎の殺しの場面を題材にした揃物。
慶応2年(1866年)から慶応3年(1867年)にかけて刊行。
いわゆる無残絵血みどろ絵)と呼ばれるもので、それぞれの絵師が十四図ずつ担当して描いてます。
題名にある「衆句」は、天球を区分して、星座の所在を明らかにした二十八宿をもとに各人をあらわしてるそうです。
また「衆句」は、仏教で多くの苦痛をあらわす衆苦(しゅうく)に語感を通じさせているそうです。
 
落合芳幾月岡芳年ともに幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。
ともに歌川国芳の門下であり、芳幾が兄弟子、芳年が弟弟子であり、互いにライバルであったようです。
 
その落合芳幾の企画と月岡芳年の企画展を、別々な美術館で開催していましたので行ってきました。
 
 
まず、8月4日(土)コチラにへ。

落合芳幾
太田記念美術館:2018/8/3~8/26)
 
 
そして、8月5日はコチラへ。
芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師
練馬区立美術館:2018/8/5~9/24)
 
 
太田美術館の方は、「英名二十八衆句」のうち落合芳幾の14作品全てが展示され・・・
練馬区立美術館の方は、月岡芳年の14作品だけでなく、芳幾の作品をも含めた全28作品が展示されています。
 
「英名二十八衆句」を見ていますと、血みどろっぷりは芳年の絵の方が強いような気がしますし、残虐性の強い絵も芳年の方が多かったような気がします。
芳幾の方が、やや抑えられてるような気がしました。
 
実は、師である歌川国芳鏗鏘手練鍛の名刃(さえたてのうちきたえのわざもの)」という連作で、刃傷場面を血の描写をしたものを先行して出しているそうです。
実際に、それに触発されて「英名二十八衆句」は出されたようで、参考にもしているようです。
ただ、「鏗鏘手練鍛の名刃」は斬殺場面を直接は描かず、血にまみれた手や足の形の痕だけを描き、直前に起きていた凄惨な場面を連想させる手法を取っているそうです。
そういった意味では、それより過激な直接の場面が多い「英名二十八衆句」の方が、その弟子が描いただけあって良い意味・悪い意味で若いのかもしれません。
 
 
ちなみに、芳幾、芳年ともに無残絵だけではなく、いろいろな絵を描いていますので、楽し見どころは他にもあります。
どちらかの美術館の企画展の半券を持って行きますと、別な美術館の方で100円引きになりますので、両方見るのがお得です。