コンフィニティ(ぺイパルの前身)を創業したピーター・ティールの名言。
まあ、確かに「0から1にする(=競争者のいない新領域で起業)」ならば、独占=高利潤になりますな。
そして、企業が成功したその先はまた戦略が分かれるのでしょう。
例えば、Amazonのベゾスは「アップルは利益水準を高く設定しすぎた」と批判しています。
2017年のスマホ市場で、Apple(iOs)のシェアは約20%、Androidは約70%。
でも、利益の8~9割はApple(iPhone)。
大成功やん、Appleのブランド力とビジネスモデルってどんだけ~と素人目には思うのですが、ベゾスは「儲かる水準に価格をあわせたから、追随する競争者が出てくるのだ」と言う。
Amazonのように利益の出ない水準で成長を続けてシェアを独占していけば、追随する競争者が参入できないだろ?結果、参入不能な独占市場を築けるだろ?ということらしい。
確かに立ち上げ時の利益を減らしたとしても、iPhoneの市場シェアを50%以上にしていれば、iPhoneユーザーがそうそうAndroidに乗り換えるか?とか、製造コストの低減が図れる(逆に競争者は製造コストが高くなっていたはず)で結果は全然違っていたのかもしれません。
ま、ワイドモート(広い堀)をどこに求めるか、ということなんでしょうな。
などとツラツラ考えるに、もはや、ネットに接続出来る先進国民はFAAMG税というべきものを払い続けることになってます。
この中ではFacebookは必須というわけではないし、Googleは税金を取られてる実感がないだろうし、Appleはその製品を使っていない人もいるけれど…。
Microsoftの製品は使わないわけにはいかないし、何年に一回は買い替えが発生する。
AmazonはAWS、Amazonプライム等で顧客を囲い込んで定額徴収システムを築き上げている。
そこでゆかぴょん、ちょっと考えてみた。
これらの銘柄を今から買うのもアリといえばアリと思うけど、「利益を生むのは"独占"」であるのなら、より儲けられそうなのはアリババやテンセントなのでは?と。
『中国には独占禁止法がないと智恵子はいう』
アリババ、テンセントはバイドゥを引き離して2強状態。
この2社がアメリカのIT企業以上に有利なのは、
①中国当局が国策として米IT企業を排除する姿勢であること
共産党独裁政権の国際ルールも人権も無視できる強権があり、中国の国内市場が大きく、そして、自前でIT企業を育成できるだけの人材プールがあるから出来ることで、これは他国にはちょっと真似ができないけど。
②決済インフラを握ったこと
中国の2017年度第2四半期(4~6月)の第三者モバイル決済市場の取引規模は27兆1千億元(約460兆円(1元=約17.0円で計算)、前年同期比95.4%増)に達し、このうち支付宝(アリペイ)と微信支付(WeChatペイメント)のシェアは合計94.3%に。
先進国での決済インフラはつまるところ銀行とクレカシステムにある。
日本で電子マネーが普及しないのは、結局、どこかが銀行とクレカシステムに対して決済コストを負担しないといけないから。
アリババ(Alipay)やテンセント(WeChatペイ)はこの決済コストを低く設定出来ているという有利性がある。
偽札リスクがなくなる、ネット予約で行列に並ばなくてよくなる、膨大な顧客を抱えていた、これらにスマホの登場時期が重なったというのは背景や状況であって、電子マネーが普及したのは 『2013年7月に中国人民銀行が「銀行カード収単(アクワイアリング)業務管理弁法」を公布して第三者決済機関の"オフライン清算市場"への参入を緩和』したことが一番の要因らしい。
どういうことかというと、
(日本)
消費者→支払(電子マネー等)→清算(クレカシステム)→販売店
(中国)
【旧】消費者→支払(電子マネー等)→清算(銀聯)→販売店
【現】消費者→支払・清算(Alipay・WeChatペイ)→販売店
Alipay・WeChatペイは直接銀行と接続しているので、Alipay・WeChatペイを介して自分の銀行口座のお金を自由に出し入れできる。
それに対して、クレカシステムの場合は、
VISA、MasterCardなどの「(5大)国際ブランド」
カードを発行する「イシュアー」
加盟店開拓を行う「アクワイアラー」
決済システムを提供する会社(CAFIS)
などのプレイヤーが消費者と銀行口座の間に存在している。
ということは、それぞれが"上がり(手数料、利益)"を徴収しているわけで、コストも時間もかかることになる。
多分、アメリカの場合はここに気がついてフィンテックに力を入れているのだろうけど、日本の場合はそこに気が付いても多分、どうしようもない。
何故なら、金融行政が硬直的、ベンチャーに資金が供給されない、起業に失敗したら人生アウト!な法制度、高齢化でスマホ普及率が低い、米中に比べると国内市場が小さすぎる、米中IT企業が絶賛侵略中etc、etc
信長の楽市・楽座政策をいいね!と謙信・信玄が思ったところで真似できない事情と似ている。
③決済インフラを握ったことによる金融・信用サービスの優位性
アリババを例にとると、Alipayの決済業務を行っている子会社のアリババアントフィナンシャルは預金運用、収集した顧客情報をもとに信用スコアリングサービスを提供、信用情報を基にクレジット・ローン業務を行っている。
中国の決済シェアのほとんどをアリババ(Alipay)・テンセント(WeChatペイ)が握っているわけだから、その精度は押して知るべし。
④ベンチャーキャピタル
中国のユニコーン企業は、ほとんどアリババ、テンセント、百度の資本が入っている。
例を挙げると、
・配車アプリ市場
2015年にアリババ出資企業とテンセント系の2社が合併して「滴滴出行」誕生
2016年に滴滴が米ウーバー社の中国事業の買収し、市場は滴滴の1社独占に
・シェア自転車
「モバイク(テンセント出資)」と「ofo(オッフォ、アリババ出資)」の2社で市場の9割超
といった具合。
まあ、中国バブル崩壊とか政変や急激な政策変更、不透明な会計制度なんかのカントリーリスクは確かにあります。
現に、人民銀行は第三者決済の増大とそれに伴う不透明な資金の動き、顧客保護、マネーロンダリングの防止の観点から規制を強めています。
具体的には次の2つの政策です。
・顧客から集めた資金に対し、一定割合で利息のつかない口座に供託金を預ける
・清算機関「網聯」の設立。
網聯は、サードパーティ決済事業者と金融機関の間に入り、それぞれの取引を仲介。各サードパーティ決済事業者及び各金融機関はそれぞれ個別に提携する必要はなくなり、網聯にのみ接続すればよくなる。
アリババ、テンセントにとっては各金融機関と個別に接続していた負荷が軽減されるというメリット、独占していた情報が開放されるというデメリット、両方の面がありますが、それを踏まえてこの政策を受け入れて、それぞれ網聯に10%の出資をしています。
てなことを考えると、中国+東南アジア他に進出・拡大中、決済・信用情報を核に金融事業を拡大中のアリババはAmazonよりも成長余地は大きいのでは?と思う次第。
アリババは1ケ月前の191ドルから172ドルに下げてることだし、ここらで買い増しもいいかな、と思うゆかぴょんなのであった。
当たるも八卦、当たらぬも八卦、投資は自己責任でw