⑤国際情勢の先読み(インフレか戦争か)


 歴史を紐解くと、現在は第一次世界大戦後の状況に近い、と思う。

すなわち、大戦景気→バブル崩壊→デフレ→関東大震災→大恐慌→金融緩和、である。

昭和末期・平成に置き換えると、バブル→バブル崩壊→デフレ→リーマンショック→311→金融緩和、となる。


 問題は、ジム・ロジャーズが再三警告している通り、アベノミクスは失敗に終わる可能性が高い、ということ。少子高齢化、移民は拒否であるため、GDPが拡大して税収が増えるという可能性は低い。

また、円安は進んだけれど、輸出はそれほど伸びていない。


 つまり、成長戦略は失敗に終わる可能性が高く、その場合、止まらない財政赤字が問題になるはず。

金融緩和でお札をすって財政再建を成し遂げた国は実はほとんどない。行きつく先は、インフレか戦争か、である。日銀で国債引受けを行った日本や、ニューディール政策後のアメリカのように。


 そう考えてみると、近未来にアジアで戦争が発生する可能性は高い。

なぜならば、関係国に十分な動機があるから、である。


(米国)

・中国が、南シナ海の埋め立てを進め、海洋覇権・航行自由の原則に挑戦している。これは蟻の一穴といえども覇権国には譲れないところである。


・もし、中国と戦争になれば、中国保有の米国債100兆円はチャラ、米国内の中国関係者の資産凍結・没収も見込める。さらに日本にも戦費負担を要請し、これまた米国債をある程度チャラに出来る。


・理想的には、中国・日本間で紛争が起き、日本が助けを求めてから援軍に行く形が望ましい。

十分に恩を着せ、今後ますます米国製兵器を売り込める。


・今後10年、軍事予算を削減予定であるが、戦争=予算拡大。軍産複合体は戦争を望むであろう。


(日本)

・サンフランシスコ条約で固定されている敗戦国という地位が、常任理事国である中国に勝利することで書き換えられ、戦後秩序から抜け出せる。


・実のところ、勝っても惨勝なのであるが、安倍政権は戦後秩序から抜け出せることの方を重視するだろう。


・惨勝というのは、おそらく、中国に投資した日本資産は毀損、米国への戦費提供で費用はかかり、賠償金はおそらく取れない、それどころか、戦後復興、難民流出防止のための対策費用、中国市場の喪失、といった費用の負担が発生するだろうから。


・また、中国という敵国がなくなった米国の次の目標は、地域覇権国候補である日本とドイツになるため、戦後秩序から抜け出しても別の頸木に囚われることになると思われる。



(中国)

・米国の100年分のセメントを3年で使用するような、無茶苦茶な投資により途方もなく巨大な生産力が余っている。


・GDPの成長率のうち、投資に依存する割合が大きすぎ、Brics銀行・AIIBはまともに船出をしないだろうから、成長率は確実に鈍化、株式・不動産市場が暴落となる可能性が高い・


・その際、国民の不満という内患を戦争という外患にすり替える可能性が高い。


・海軍は何ら実績がないのに巨額の予算を消化しており、国内景気の悪化に伴う予算削減を避けるため、実績作りのための無用な挑発を繰り返す可能性が高い。


・通常戦力ではなく、漁船・海警での領土・領海侵犯の紛争、サイバー攻撃、日本への核恫喝、インフラテロといった非対称戦で臨むはず。


戦争になるかならないかは、結局はアメリカ次第(日中はどちらも決定的となる挑発は行わないはず)であるが、リメンバーXX(南シナ海上)を契機に戦争となるシナリオはありうると考える。


⑥戦争になったら?

・遠くの戦争は買い、近くの戦争は売りである。


・日本国内にも中距離ミサイルが着弾する事態になり、場合によっては核恫喝もありうるので、リスクオフの流れになるはず。


・戦争自体は中国に渡洋侵攻能力はないため、中国海軍・空軍を撃滅した時点で日米の負けはなくなり、株価は騰がり出す。(核恫喝・使用は想定から除外)


・中国海軍(上海閥)の首と引き換えに和平となるか、中国共産党政権が崩壊するまで戦争継続となるかは米国次第。

(前者となっても、中共政府の威信が失墜し、政権転覆→内戦となるのではないか)


・というシナリオを考え、日米の軍事関連銘柄を観察しているが、今のところは市場動向と顕著な乖離はないように思われる。


(つづく)