合掌 | ロゼッタへの道

合掌


東大名誉教授(哲学)の坂部恵さん死去


 坂部 恵さん(さかべ・めぐみ=東大名誉教授・哲学)が3日、神経膠芽(こう
が)腫で死去、73歳。通夜は8日午後7時、葬儀は9日午後1時30分から東京
都千代田区麹町6の5の1の聖イグナチオ教会で。喪主は妻玲子(れいこ)さ
ん。
 カントなどの西洋哲学から出発し、幅広い視点で精神の基底を探る試みを続
けた。著書に「仮面の解釈学」「理性の不安――カント哲学の生成と構造」な
ど。「和辻哲郎」などでサントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受けた。

-------------------

 この人ほど深い見識と教養、そして先見性のある哲学研究者は、もうこの国からは出ないのではないでしょうか。 「モデルニテ・バロック」の次の作品を期待していただけに、とても残念です。

 たまたま、この春から坂部氏の著作を大学の自主ゼミと市民読書会で読み始めたところでした。明日の自主ゼミは偉大な碩学の追悼会になりそうです。

 以下は、ちょうど10年前に哲学研究者に向けて坂部先生が書いた文章ですが、「哲学」以外の研究者にもびっくりするほど当てはまる言葉だと思います。

「近時の日本の大学改革に際して・・・・ひろい意味の「フィロソフィー」の側からあまり目立った見識ある発言も、ましてまとまったリアクションや対案の提示もなく終わったように見受けられるのは・・・いかにも不甲斐ない。日本の哲学専門研究者たちが、微温的な環境のなかで、マックス・ウェーバーのいう「魂なき専門人」としての自己形成をむしろ進んで競いあっているとすれば、個別研究のレベルは上がるにせよ、それこそ「哲学の終焉」・・・をみずから好んで呼び寄せているとしか私には思えない」。

 はい、うちの大学でも着々と「大学改革」は進行中です・・・。