十年ひとむかし | ロゼッタへの道

十年ひとむかし

 自宅のPCが吹っ飛びました。正確には、ハードディスクのブートローダかどこかが壊れて、Windowsが起動しなくなってしまった。半年前にインストールしなおしたばっかりなのに。

 数日間にわたって復旧作業を試みていたのですが、もう打つ手もなくなったので、あきらめて寺町へ。


 大学からいつものパーツ屋に直行したら、店内に「Comptia A+資格取得の店員があなたを丁寧にサポートします」と大きなビラが張ってありました。


 この資格、実は6年くらい前に、私(正確には、私も含めた数人のスタッフ)が日本に導入したんだよね。教科書や模擬試験をつくったっけ。そういや、日本導入にあたって、アメリカのComptia本部の会長といっしょに真冬の保津川を船で下ったよな。あれは寒かった。あれからなかなか広まらないなあと思ってたら、こんなところに普及していたなんて。


 そんなことを思い出しながら、うれしがって店内でハードディスクを物色しているとき、ふと、私が陰ながら先生として導いた生徒であるはずの、目の前にいる店員を試してやろうという悪い考えが浮かんできました。もしちゃんと答えられたら、「キミのとった資格を日本に導入したのボクなんだけど、さすがキミよくできるね、うれしいよボクは」なんて誉めてあげようと思ったわけです。


 「ねえ、このintelのCPUとあっちのAMDのCPU、XPで使うんだったらどっちが早いかな?」

 って聞いてみると、すぐに店員が答えました。

 「えーと、それはお客さまのXXがXXXX規格に沿っているかどうかによりますね。○○○だったら、CPUじゃなくて△△△をアップグレードしたほうがいいですよ。それにマザーボードが○○○でないと動きませんよ。」

 ・・・・悲しいことに、私の想定していた答えのほうがどうやら間違っているみたいで、しかも私には店員の話してくれた用語の意味があまりに新しすぎて、ほとんどわかりませんでした。


 けっきょく「誉めてあげよう」なんていう思い上がった考えはすっかりどこかに飛んでしまい、むしろ店員を畏敬の念で眺めながら、「ああそうですか、ありがとう」と答えるしかありませんでした。


 10年ひと昔っていいますが、こあまりに技術革新の速さのために、自分がおじいさんになってしまった感じ。老いては子に従え」っていう諺の正しさをまざまざと齢40にして実感した次第です。