ドナーエッグ(提供卵子)による妊娠--温井の場合 3 | 温井ちまき ブログ

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ワシントンDC在住。米国のコンシューマー、ビジネス、ソーシャルトレンドをメインに日本のメディアに記事を書いてきました。現在は卵子提供によって産まれた3人の子供の子育て中。

2009年、とうとう私とパチくんは、私の卵子を使うことを諦めて、ドナーエッグを使った体外受精を試みることになりました。

もちろんそれを決めるまでに、ずいぶん2人で話をしました。

私は、自分の卵子を使った体外受精にまだ未練がありました。でも、それは確率的にも相当低い選択肢です。特に日本で行うことになれば日常生活に多大な支障を及ぼします。

また、この頃になると在米日本人で不妊症に悩む女性の皆さんの意見を聞く機会が増え(ネットで)、
ドナーエッグIVF(体外受精)やアメリカでの不妊治療にあまり良い印象を持ってる人がいないように感じるようになりました。クリニックにとってはドナーエッグIVF(体外受精)は高く値段がつけられるので医者が無理やりそっちの方へ話をもっていこうとする、とか、他人の卵子を使うことにはどうしても抵抗がある、とか、お金で卵子を買うのか、とか、日本の方が熱心に治療してくれる、とか、そういった意見を色々読みました。

まあそういった側面も確かにありますわな。

だってクリニックだって商売してるんだから、高く売れる商品の方を勧めるのは当然のことだし(ま、それでも良識のある医師だったらそんな露骨なやり方しないと思います。クリニックはしっかり選ばないといけません)。

お金で卵子を買うのかと言われればまあそうですわ。ドナーには高額な「謝礼」を払うわけですから。でも、自分でIVFしたらわかりますが、あれホント大変な労力です。ホルモン剤などを毎日正確な量測って決められた時間帯に注射しないといけないし、ほぼ毎日血液検査のためクリニックに行かないといけないし。今日の血液検査の結果によってはまた明日来て下さいと言われることも多々。他の予定はいれられません。しかも採卵のときは日本では麻酔なしでやるけどアメリカでは全身麻酔だもん。他人のために・お金のためにやるとしても、本人には様々な意味で相当な負担がかかります。私がドナーだったら「赤の他人」のためにボランティアするのはちょっとなあと思います。それに投薬や注射、アポなどをきちんとこなすには強い責任感が必要ですから、その責任感を喚起するための「契約料」という意味合いも、謝礼にはあるわけです。


他人の卵子を使うことに対する抵抗感というのは、自分の気持ちの問題なので、ある人はしょーがない。私にももちろん抵抗感は最初ありました。でも正直なところ、これまで書いたように自分の卵子を使ったIVFに行き詰ってしまっていたので、このまま同じことを続けるのかと思うと、それも「なんだかなあ」とは感じていました。

もちろん、この時点で養子をとるとか、治療自体をやめて夫婦だけの人生を歩んでいくとかという選択肢もありましたし、当然考えました。

私の場合、幸運といえるのかどうかわかりませんが、パチくんがドナーエッグを使うことに積極的でした。「ヘンな人」だからなのかもしれません。「やってみようよ」と彼はずっと言っていて、そしたら私も「じゃあやってみっかな」と思えるようになってきました。それにドナーエッグだからといってうまくいくとも限らないわけですし。

で、2009年1月ごろだったか、ようやくドナーエッグIVF用のコンサルテーションを受けて、ドナー探しをすることになりました。

(つづく)