考えがまとまっていないのですが、運命時のカガリについて語ります。

長いです。


  

カガリの心情考察


前作では天真爛漫で無垢でなににも囚われない自由な女の子だったカガリ。

元から愛情深く、広く大きく包み込む愛を持っていた少女。

最愛の父親を亡くし、自らその自由に動ける羽をしまってオーブの幸せのために全力を尽くす。

しかし政治を担う教育なんて受けてきておらず、10代の小娘でしかないカガリには為政者としての力はない。

それを自覚しても尚、オーブ国の平和の実現を本心から願って、自分の想いだけで成し遂げようと努力する。


という状態で、


側にいるアスランは唯一で最大の癒し。
あのドロドロ渦を巻いてる政治や外交の世界の中にいたカガリにとって唯一涙を見せられる相手だったんじゃないかと思う。

アスランはそんなカガリを守りたい一心で気丈に振る舞っていたと思う。


アスランはアスランで、父と和解できないまま目の前で亡くし、プラントから追放されオーブへ亡命。しかしザラ元議長の息子であるために本名を名乗ることも、MSに乗って表に出ることも出来ず、能力的にはやれることが沢山あるのに、それをする権利を奪われてなにも出来ないでいる状態。しがらみに囚われてカガリを守れない無力な自分に苦しんでいた。


それをカガリは知っているけれどカガリ自身がアスランに依存状態なので見て見ぬふりをしていた。
運命序盤の様子から見てもそれをカガリはずっと悔やんでる。


だからアスランがプラントに行きたいと言い出したとき、本当は行ってほしくないし不安で堪らないのに物分かりがいいように二つ返事で承諾した。アスランへの負い目があって、自由にしてあげたいと思ったから。

アスランはそれを真に受けて、カガリの為を思って速攻でプラントにいく。この時のアスランは若いし余裕がなくてカガリの弱さを汲み取れなかった。


ここからのカガリは唯一の拠り所を失くして気丈に振る舞いつつも今までのように強く主張できる
元気も出なくて、そこからはセイランのいいように言いくるめられて、外堀埋められて、軟禁されて詰む。

アスランがいなくなってからのカガリの唯一の慰めが指輪。軟禁されてるときもずっと大切に側に置いていた。だから指輪をキラに渡し手元から失ったカガリは完全に全てを諦めている。


最後に力振り絞ってキラに手紙を書く。内容は一方的だけど本心はキラを頼ってる。

これはアスランが読んだら発狂しそうな内容。
だからほとぼり覚めたその後も絶対に見せないでいそう、


それで危機一髪キラがフリーダムで花嫁強奪して助けてくれるんだけど、カガリのオーブへの思いは消えることは全くなくて、自分はオーブのためにどうすればいいのかをずっと自問自答する。 

答えはでないが今の立場でできる限りの意思表示をしようと戦闘介入を行う。


ミリィの仲介でアスランに会えると分かったときは本当に喜んだと思う。指輪をつけてワクワクしながら迎えに行くつもりでいたと思う。その描写はないけれどきっとアスランのことを想って久しぶりの笑顔を見せたのではないかと思う。

なのにアスランから一方的に責められて、オーブへの戻れと言われ、さらにはアスランはまた自分のもとを離れると一方的に告げられる。

ここでカガリは一度失恋してる。

自分一人ではどうしても連合との条約を止められなかったから仕方なくセイランに身を捧げることになったのに、そこから間一髪逃げてきたのにまた戻れ・自分はプラントに帰るっていうのは、結婚を蒸し返しユウナに抱かれてこい、自分は守らないって意味だし。酷く絶望したと思う。

正直アスランはこの時点ではオーブへの思いは特にないんだよね。「カガリの国」程度してか見てなくて多分愛着もない。ただカガリが大事にしている国だから自分も大事にしようとしていただけで、オーブが自分の意思とは反する方向へ向かうなら容赦なく切り捨てようとしてると思う。もちろんそうなればカガリを連れて出て行く気満々。

だけどカガリは絶対にオーブを捨てることはしないからこの時点で見ているものが異なってるんだと思う。そこにカガリが気付く場面。

カガリはプラントへ戻るアスランに対して、自分の大事にしているオーブよりもアスランが育ったプラントに居場所を見つけたんだって解釈してると思う。

だからここからはアスランにオーブを守ってほしいという気持ちをシャットアウトしてる。


それでも大切な人だからずっと身を案じて指輪はずっと持ち続けてるけど、アスランが負傷してオーブに戻り、しばらくしてもう身体は大丈夫だと確信したら指輪を外してる。

この時のカガリは、アスランが生きていることを素直に喜び、それだけで満足だと己の欲を振り払って国と共に歩むために指輪を外してる。完全に女傑ルート。

でも想いを完全に断ち切れたわけではないので、AA出航式の時キララクと同じようにハグできないし、アスランからハグされたら感極まるのをグッと押さえてるように見える。

そもそもで自分の想いは断ち切ろうともしてなくて、ただ想いはそのままで共に歩む道だけを断とうとしてるんだと思う。

この時アスランは「夢は同じ」だなんて言ってるけど、アスランの夢は戦争終わらせてオーブでカガリと一緒に居たいのに対して、カガリは恒久的に戦争のない平和な世界にしたい、アスランは思うままに生きて欲しい。だと思うから噛み合ってないじゃないかと。





  どうしたらよかったか


みんながみんな自分のことで精一杯だったので誰が悪いとかはない。

強いて言えば、
アスランが話し合いもせずにいきなりプラントに行ったのが悪い。

ここ、事前にしっかりカガリに話をして、二人で納得した上でプラントに行っていれば、カガリはあそこまで追い詰められなかったし、メンタルやられてないカガリなら大西洋連邦との条約は最後まで断固拒否しただろうし、それで被る被害も事前にしっかりキラやマリューさんたちに頼ることをして最小限に抑えてたと思う。

そうすればアスランは迷うこともなく、シンはステライベント回避は無理としてもフリーダム落とすとこまではなかったかも?なんならアスランとキラが強力タッグでステラ無事とかあったかも。
ステラの逝去についてはシナリオの強制力働くから回避無理としても、シンを守って死ぬとかそんなパターンだったろうな。

女難はあったとしてもやっぱり迷いのないアスランなので一貫してカガリ提唱して惚気てそうだし、議長の思惑が掴めたらアスランとミーア含めたミネルバクルーでクーデター起こして、議長VSわんぱくクーデター組withオーブ軍で終わってたかも。ちなみに議長はMSに乗る(笑)

わんぱくクーデター組はオーブっ子になってもいいし、「だって議長にパワハラ受けてたし、レクイエム止めたかったんですも~ん」って言ってお咎めなしでザフトのまんまでもよし。アスランはオーブに戻る。ミーアもオーブに来そう。


とにかくアスランがちゃんと話し合ってカガリのメンタルケアさえしとけば回りくどいことしなくてすんだんじゃないかな。

アスランとカガリは事情が事情とはいえ、二人だけの世界で、誰にも頼らず二人だけで全てを成そうとしたことが一番の失敗だったんだなと思う。

それでも、その失敗があっての成長なので、二人のそういう完璧じゃないとこ本当に好きだし、このまんまでいいんだけど、

何よりもアンチの原因は、ここまで丁寧に拗らせを描いておいて本編で結果までの過程を回収せずに「戦い終わってよかったね」で雑に終わるっていういう投げやりな締め方をしたこと。散々題材にしてきたオーブやナチュラルがなんにも描かれずに終わったこと。

そして謎の特典CDドラマ。
脚本家が直々に書いたというそれは、雑に終わらせたものを回収するでもなく、ただ脚本家だけが楽しんでたような内容で……。とにかく残念だった。脚本家は最後ザラ派(ナチュラル排除思考)だったのかな?




  カガリが戦闘介入したこと


カガリアンチにボロクソに言われる案件ですが、私は好意的に見ています。

上手い例えがないのですが、


【登場人物】
①ブラック企業(地球連合)でパワハラ受けて社畜してる息子(オーブ)
②ブラック企業に詐欺られて激おこ企業(ザフト)
③息子の様子が明らかにおかしくて心配する両親(キラカガ)

・会社から②の対応を全振りされた①。
・言われるがまま②は①と争う(盲信)。
・①は絶望的に不利。
・③親が①息子を心配して物申す!
・②「はぁ?こっちは被害者だけど??」
・①「僕のことなんだからやめてよね!親が入ってきたら会社での立場もなくなるんだから!」
・③「いやいや、そもそも①息子は悪くないだろ?だから②と争うのはお前が傷つくだけだからやめろ。②も無意味に息子傷つけんな!」

の状態。

ここで③親的には

「まず目先の息子守るぜ。」
「会社での立場がないだと?」
「ブラック企業に魂売ってどうする。そんな会社とは縁を切れ!相手が暴力で訴えてくるのは知っている。だがこちらも然るべき対応とってやる!その時は絶対的味方になってやる!」
「いいから自分を守れ!大切にしろ!」

って思いなわけです。

それを、息子のことだから…と手を出さず放置して過労死させるか、息子の周りを引っ掻き回して縁切りして長いスパンかけて後処理までやりとげるか、どちらが選択肢をとるか、だと。

いちばん綺麗に終わらせられる方法は誰よりも権力のある第三者介入なんだろうけど、残念ながらその駒は存在しない。

キラは手を出さないで息子が自滅を待つ(それで僕は無力だって傷つく)タイプな気もしますが、カガリは愛情深く自滅する前になんとかしてあげたいタイプなのでそれに乗っかっただけだろうなと。無力だとわかっていても行動を起こすのと起こさないのでは違うってきっとわかってるからこそ。


あまりに不利な状況に対しての駒の動かし方は経験の数と運でしか補えないのは当然で、経験のない、力がないカガリだからこそ、今できることを懸命に考えてこの決断だった。
批判する人は何を期待してきたのか分からないけれど、カガリについては無印からずっと生い立ち知ってるでしょ?ミネバ様やリリーナ様のようには育ってないんだよ。そこ間違えては行けない部分。

シンだって普通の優しい少年だったのに、試練がドバトバ休む暇もなく襲ってくるからああもなる。

それでもずっと諦めずに辛い思いをしながらひたむきに頑張ってるカガリとシンは、力はなくとも他の誰よりも想いが強くて私は大好きだった。

逆に他の誰よりも人間らしい人間だったからこそ、同族嫌悪を感じる人も少なくなかったのかも。


余談だけれど、この辛くて辛くて仕方がなかった時を自分の持つ小さな力でひたむきにがむしゃらに乗り越えてきたこそ、運命ラスト(+自由)のカガリ様が出来上がるんだよな。失敗を糧に成長しているカガリは本当に素敵だと思う。


因みにエターナルもコンパスも同じく戦闘介入するだけの組織。但しこちらは「第三者」かつ「力」があるので視聴者批判を受けにくいんだと思う。力があればなんでもいい感じになるんだと思う。

でも私はどんなに無様でもがむしゃらに頑張る「強さは力じゃない!生きる意思だ!」を支持したいな。