長女は物心ついた頃から「綺麗に魅せること」「美しく在ること」を追究する子どもでした。
小さい頃は「お化粧とかに興味が出てくる年頃なのかな、遊びで口紅とかマニキュアとか塗ったりして…」なんて微笑ましく思っていたけれど、なんだかそんな風でもなさそう、小さいのにどこかプロ意識というか研究者気質というかそんなものを感じていました。
私は化粧には無頓着で、高級ブランドにも興味はなくて、娘のワクワクするものに同じように関心を示してあげることができませんでした。
学校行事で会う、いわゆる「美魔女」と言われるような綺麗なお母さんたちなら、きっと娘の話に共感して一緒に買い物を楽しんであげるんだろうな、と思ったり。
遺伝とか育て方とか全く関係なく、その子の「好き」は決まっているんだな、と思いました。
保育園の卒園式では「私は大きくなったらエステティシャンになります!」と宣言してみんなを驚かせていました。
小学校の卒業文集の将来の夢には「美容師」と書いていました。
それとは別に芸能界にも興味があり、事務所のオーディションをひとりで受けに行ったり養成所のレッスンに通ったり。
人見知りなのにそういうところには迷わずに飛び込んでいく子でした。
とにかくいつもキラキラと輝いていたい。
輝いている自分を見て欲しい。
ステージの真ん中でスポットライトを浴びたい。
いつ見られていても恥ずかしくない自分でいたい。
美しさを追究することにはとことん貪欲で、努力を惜しまない。
ひとつの小さなニキビの出現に大騒ぎして、それだけでこの世の終わりみたいな顔をしている彼女を見ていると「外見の美しさは貴女の存在価値を決めることではないよ。貴女はそのままでいいんだよ」と心配したけれど、自分が好きなことなら好きなようにとことん突き進めばいい…そんな風に見守っていました。
大人になるにつれて、美しさを追究する貪欲さは衰えるどころかどんどん増していき、バイト代はほとんどスキンケアや化粧品、美容院代に消えていきました。
私とはお金の使い方に対する価値観が違い、何度も口出ししそうになりましたが「自分で働いて稼いだお金なんだし」「これも勉強、教材」と言い聞かせなんとかやり過ごしてきました。
そんな彼女ももう20歳、夢を現実にする時がきました。
美しさを追究するプロ、保育園の頃に宣言していた夢「エステティシャン」です。
でもひとつ、美容学校に通って学ぶ内に、気づいたことがあるようです。
同じように、綺麗でいることに興味があり美容学校に進学しようか悩んでいるという高校生に「自分が綺麗になりたい、綺麗で居続けたいという気持ちだけでこの職業を目指しているならお勧めはしない。主役はお客様。お客様をいかに綺麗に輝かせるかがエステティシャンの使命。私たちがお客様より目立ってはいけない。いつも脇役、引き立て役」と、エステサロンの経営者かのように話していました(笑)。
まだ働いてへんやろ(笑)→私の心の声。
そう、貴女は主役になりたかったんだよね。
美容学校で実習を重ねる内にどんどん荒れていく肌や手。
10kgを優に超える重たい通学バッグを毎日抱えて青紫になった肩。
「モデルになれたから観に来てね」と唯一楽しみにしていた卒業前のビューティーショーも、国際資格を取るための海外研修も、コロナ禍で中止。
「こんなはずじゃなかった!」「もっと輝いていたかった!」って何度も思ったよね。
でもね…
貴女のその手には美しくする術が染み込んでいる。
貴女の肌の美しさは一日にして成らずのもの。
小さい頃から好きなことをやってきた、美を追究してきた、なりたい自分への努力を惜しまなかった貴女を、家族みんなが知っています。
だから今日は思う存分輝いて。
貴女が主役。
成人式もどうなるかわからない。
せめて形で残してあげたい。
小さい頃からの努力の賜物、貴女自身を。
おめでとう。
究めてきたものは嘘はつかない。
綺麗だよ。


