『妄想135 わたしの家政夫ドギョンスさん(5)』『妄想134 わたしの家政夫ドギョンスさん(4)』『妄想133 わたしの家政夫ドギョンスさん(3)』『妄想132 わたしの家政夫ドギョンスさん(2…リンクameblo.jp

↑前回までのお話。



再登場したイケメン家政夫ドギョンスさんと。

部下のベクちゃんと。

わたし。


三つ巴の状態でしばらく見つめ合ったまま…時が止まる。


…どうしよう

一体…どうしたら…いいの…


恋人はおらず独り身だと公言している身で。


家政夫を雇ってるなんてことは部下には知られたくないし。


しかもそれがイケメン家政夫だなんて絶対に誰にもバレてはならない秘密なのだから(汗汗汗)


…そうだ!!!


「も…もうオッパ!勝手に部屋に入ってこないでっていつも言ってるでしょ!?」


「………オッパ?」


帽子のつばの陰から大きな目をさらに見開いてガン見してくる家政夫さんの圧に屈せず言葉を続ける。


「さっき夕飯届けてくれたとき、スマホ忘れていったのね?もう、しょうがないオッパだなー(笑)」


ドギョンスさんに目配せし、うんうんと強引に同調を促す。


「こんなオッパで…ご…ごめんな」


ドギョンスさんのオッパ同調を引き出して、ひとまずは安心デス!!!

咄嗟に思い付いたオッパ設定に我ながら拍手を送りたい!!!👏👏👏


「わぁ…エリさんのお兄様でしたか!それは大変失礼しました。ボク、部下のベッキョンと申します。いつもエリさんには大変お世話になってます」


ソファから立ち上がり、深々とお辞儀をするベクちゃんは、いつものビジネスマン仕様に戻ったようだった。



「あ…こちらこそ…いつも…妹の…エリ…が…お世話になりまして…どうも」


帽子もマスクも取らないまま、しどろもどろの反応だけど。


今…エリって言った!?

ねえ!わたしのこと、今、エリって言ったよねドギョンスさん!!!!!(;´༎ຶД༎ຶ`)ブワッ


「邪魔してごめんな、エリ。では、ごゆっくり」


イケメン家政夫さんは、わたしの名前なんて知らないと思ってた…。

だって…今まで一度も名前で呼んでくれたことなかったよね?( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )


見事に、わたしの兄を演じきってその場を立ち去ろうとしたドギョンスさん、本当にありがとう!!!


「ちょっと、待ってください!お兄様!!!」


…え?


ベクちゃんが慌ててドギョンスさんの行く手を阻む。


「お兄様も、ケーキ一緒に食べましょうよ!せっかくですし!ね?エリさん♡」


わたしの家族に会えたと信じて疑わず、ニコニコと愛想を振り撒く部下と。


「いや…そう言われましても…」


ぽりぽりとこめかみをかきながら困惑の様子で目で合図を送ってくるドギョンスさんの間で。


「そうだよね…彼もそう言ってくれてるし…食べていきなよ、オッパ ?」


…ベクちゃんの圧にあっさり屈したわたし。 

……ドギョンスさん…ごめんなさい…もう少しだけ…兄として…わたしのことをエリと呼んでいてください。(邪な下心)


「じゃあ…お言葉に甘えて…」


「良かった!早速食べましょう♪ケーキケーキ♪…あっ…」


ノリノリだったベクちゃんの顔が一瞬にして曇る。


「しまった…ケーキ…2つしか…ないんだ…」


いやいやいや、何故、引き留める前にそのことに気付かないの!ベクちゃん!!!(笑)


「いいよ。わたし、今、ダイエットしてるから。遠慮」

「遠慮する必要ないよ、エリ」


…え?


兄になり切ったドギョンスさんの声が被せるように響いて。


「はい、これ。…そこで買ってきたんだ」


ドギョンスさんの手にも、小さなケーキの箱が。


え?

え??

え???


みんなしてケーキ攻撃って…今日は一体…何が起こっているの?(汗汗汗)


「あー!やっぱりエリさん全く気付いてなかったんだ(笑)今日はクリスマス・イヴじゃないですか♡」


…え?


あ、、、あー……そー…でしたか……


聖なる夜の…クリスマス・イヴでしたか。。。


独り身の社畜にとって、最近はクリスマスだとかイヴだとか意識する暇もなかったからさ…(呆然)


「さすがお兄様!!!妹のためにクリスマスケーキの差し入れだなんて、どれだけ仲良し兄妹なんすか?いいなぁ…俺も…そんなエリ家の一員になりたい…」


ベクちゃん…あなたはどうして、素直にこの状況を受け入れられるの?⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝

目の前の出来事を少しも疑わずにいられるなんて、どこまで心の澄み切った子なの???⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝


しかも。

わたしが独り身だとわかって、体調崩して孤独なクリスマスを過ごしているだろうからって…同情して…気を遣ってわざわざ1日に2度もお見舞いにきてくれたんだよね。。。⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝


こんな天使みたいな部下を騙してるなんてさ…最低な上司じゃん、、、わたし。°(´ฅωฅ`)°。


少しは疑ってくれた方がこっちの罪悪感が薄れるんだけどな…。


それにしても…。


なんでわざわざドギョンスさんまでクリスマスケーキなんか…。たまによくわからないことするんだよなぁ…このイケメン家政夫さん。。。


せっかくあなたのことをキッパリも諦めたんだから、これ以上、こっちが勘違いするようなことはしないでほしいんですけどね?⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝


「今、お茶淹れます」

キッチンへ向かおうとする家政夫さんを制止して。


「いいから、オッパはそこに座ってて!わたしがやるから!」

…とは言ってみたものの…はて?お茶類は…どこにしまってあるのかな?


キッチン棚をあちこち開けて確かめていると。

スッと隣にドギョンスさんがやってきて。

紅茶を棚から取り出しながら。


「すぐ帰りますので…なんかお二人の邪魔をしたみたいで…すみません」


小さな声で、そう耳打ちをした。


…邪魔なんかじゃないのに。

なんで…そんなこと言うのさ……。


こんなに幸せなクリスマスイヴの夜なのに。


逆に寂しさが募るじゃない。。。



帽子とマスクを外し、マグカップ両手にリビングへ向かうイケメン家政夫…改め、今だけ限定、わたしの兄。



「紅茶…どうぞ…」


「あ!すみません!ありがとうござ……いま…す」


兄の顔を見たベクちゃんが驚いてる。


まさか…


「…お兄様…随分とお若く見えるんですが…失礼ですが……おいくつでいらっしゃるんですか?」


…ヤバッ!もう気付いたの?!


わたしの方がギョンスさんよりずっと歳上だって忘れてた!どうして彼を弟設定にしなかったの!致命的なキャスティングミスだわ!エリのバカバカバカバカ!!!


ベクちゃんの人並外れた洞察力を見くびっていた…どうしようバレちゃうバレちゃうくわばらくわばら!!!:(´◦ω◦`):ガタガタ…


「ハハハハ(笑)この童顔のせいで昔から弟ではないことをよくみんなに驚かれるんですよ。エリとは年子です」


ドギョンスさんの機転の効いた見事な切り返しが炸裂する。


「あれ?…そういえば前に…エリさんには歳の離れた妹さんがいると聞いたことあったけど…年子のお兄さんがいるのは今まで知らなかったな…」


不信感が拭えないのかますます我が家の家庭事情(キャスティング)に深く斬り込んでくる最強洞察力保持者のベッキョン隊長に、わたしは固唾を飲んで見守ることしかできない。


「ここだけの話…僕とエリは父親が違うんです。母が…色々あった人だから…」


うわぁ…ドギョンスさんたら、なかなか複雑な家庭環境にしたわね!!!汗汗汗

この状況でそんなことがスラスラと言えるなんて…もしかして…案外楽しんでる?しかも意外とドロドロ系なドラマが好きだったりして…。


「そっか…だから…兄妹なのにあまり顔が似てないのか……あ!すみません…ボク余計なことを…」

口を滑らせたベクちゃんが慌ててる。


…だよね。

似てないもんね…。


「いえ。僕らは複雑な家庭で一緒に生き抜いてきたから…兄妹というよりも…同志のような感覚です」


《同志》


全てが嘘だとわかっていても…咄嗟のアドリブの中から出たその単語の響きが、ギョンスさんから大切に扱われているようで、なんだか嬉しい。


「ところで…職場でのエリはどんな様子ですか?(笑)」


オッパ面してるドギョンスさんはなかなか面白いけど。


「あ、はい!マジで仕事が出来るし、真面目だし明るいし超優しいし尊敬できて信頼のおける最高の上司です👍✨エリさんは僕らの職場の女神です!!!」


ベクちゃん…あまり褒めすぎは…よくないと思うよ…。


「そうかぁ…エリは昔から頑張り屋だもんな?」


そんな風に偉そうに、オッパ面して、頭を優しくぽんぽんとしてきたりして。。。


ヤバい…また泣きそうになっちゃう…。



「お二人は…マジで仲良しなんですね…なんか兄妹に見えないな……」


ベクちゃんの表情が曇ったかと思うと。


「さ、早くケーキ食べましょう!エリさん、ケーキの箱開けてみてください♡」


「…う…うん」


いつもの盛り上げ役ベクちゃんに瞬時に切り替わり。


ガラステーブルの上に2つ並べて置かれた箱を続けて開けてみたら。


それぞれに、クリスマス仕様の小さな可愛いらしいケーキが2つずつ入っていて✨


どっちのケーキから食べたらいいのかを少しだけ幸せに悩んで。


「じゃあ…せっかくだから、ベクちゃんのを先にいただこうかな^^」


部下の前では出来るだけ良い上司を演じてみせて。


ドギョンスさんのは、とっておいて、後でじっくり味わおうと思ったのだけど。


「…やっぱり、これ二人で食べて。僕は帰るよ」


兄役の家政夫さんは突然立ち上がると、帽子とマスクをすぐに装着した。



え?

なんで?


いつもみたいに、何の迷いもなく。

スタスタと玄関に向かうドギョンスさんのその背中を目で追っていたら。


この先、あと何回、わたしはこんな気持ちになってしまうんだろう。


…と。


やっぱり大きな悲しみに襲われてしまい。


「ベクちゃん、ごめん。ちょっと、そこまで送ってくるね?」



部下を部屋に置き去りにして。

慌てて上着だけを掴んで、玄関を飛び出して、ドギョンスさんを追いかける。



「…待ってください!」




エレベーターを待つドギョンスさんを背中から呼び止めて。



帽子のつばの陰からのぞく目力に負けそうになっても。


…ポーーーン


「し…下まで…送ります…」


そう言いながら、エレベーターに一緒に乗り込む。


「……彼を一人にして…大丈夫なんですか」


ギョンスさんの不機嫌な話し方…

嫌いじゃないけど…妙に悲しくなる。


「…怒ってます?」

「…なぜ僕が怒るんですか」

「…ですよね…ハハハ」


ひゃだ…めっちゃ怒ってるじゃない…( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )


わからない。

わからないの。

イケメン家政夫さんの地雷が…

どうしたってわからないのよ。。。


ふわり‥


……え?


「僕も…少しだけパワーチャージが…必要みたいです……」


ギューーーーーーー…


ドギョンスさんに強く抱き締められて頭が真っ白になったまま急降下したエレベーター。


1階に到着した途端にパッとわたしから離れる。


「…外は寒いし…早く部屋に戻ってください。……僕が…あなたを帰したくなくなる前に…(ごにょごにょ)


え?

え??

え???


最後の尻すぼみの部分、よく聞こえなかったです。


だから、また都合よく捉えて、盛大な勘違い始まりそうなんですけど。


よろしいのでしょうか???⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝


どうしたらいいのか混乱してギョンスさんから視線を逸らしたら。


エントランスの外に雪がちらついているのが見えて驚いた。


「…雪…降ってたんですね?冷えるわけだ…」

そうやって、わざと話題を逸らしたつもりだったのに。


「…さっき家に帰る途中に…雪が降ってきて…無性にあなたに逢いたくて…戻ってきちゃいました」


ぐんっ!!!


えっ…



「やっぱり…帰したくない……」


ギューーーーーーーーー……✨✨✨




ずっと ずっと そばにいて

大好きなきみを 見つめてたい

Snowflake きみの暖もりは

冬の贈り物 ほら 雪だよ❄❄❄




ギョンスさんの腕に包まれたまま

頭の中にメリクリが流れてきたわ…


これは現実?

それともわたし…

まだ…夢を見てるのかしら???



夢でもいい…


ドギョンスさんの温かな胸の中から…


メリー・クリスマスイヴ!!!!!🥂サンタプレゼント( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )✨✨✨
















続く。





組合員の皆様も素敵なクリスマスをお過ごしください👍誕生日ケーキクリスマスツリー誕生日帽子