少し前に歩いていた花之江河が眼下に見えた。
ヤクシマミツバツツジは今が旬なのだろうか…事前の調べにツツジってのはなかったよなあ。。
前衛峰の岩を越えるともはや山頂直下。
稜線付近の色合いが紅葉みたいだな。
花崗岩が露出している山頂部からの眺めは抜群だった。
しかも黒味岳山頂は岩の上だ。
だから360°の大展望にゃあ。
雄大な宮之浦岳
その奥に控える永田岳
南に目を向けると何やらクライマーが好きそうな岩山も(たぶん七五岳)
山頂の岩の東端は10mほどの絶壁になってるので、気をつけながらポーズ撮ってもらう。
思いっきり眺めて撮ってから分岐に戻って宮之浦岳を目指す。
まだまだ先は長い。
少し進むと、さっきまでいた黒味岳山頂が見えた。すぐ前の写真のポーズ決めた場所に人が立ってるのも分かる。
「あれが宮之浦岳か?」
「いや距離的にもっと奥だよな…」
なんて会話ばかり。
いくつかの山のピークを巻くようにほぼ水平になるように道がついている。
標高はすでに1750mに達していたがあちこちで水が流れていた。ほんと水が豊富な山だと思う。
傍らでくつろぐヤクザルも見かけた。
いよいよ最後の登りだな!
そう思ってからがまた長かった。
栗生岳の露岩ピークがあって、
ラピュタのロボット兵がいて
まだ山頂直下の露岩群が控えていた。
この露岩群を上に抜けて、さらにひと登りしてやっと山頂だった。
9時56分だった。
淀川登山口から4時間40分かかっていた。
確か、CT0.8で3.5時間と見積もっていたんで、黒味岳往復分と合わせほぼ予定通りって感じだな。
いや、我々いつも休憩込みでもCT0.7が相場だから思ったより時間がかかってるんじゃないか!?
宮之浦岳は唯一1900m台の標高を誇るだけあって展望は抜群だった。
比較的広い山頂にほどほどの岩が点在していているので、そこに腰掛けながら休憩をとるって感じかな。でもあっという間に10人以上となり定員ギリギリになってしまう。
我々は山頂の北端の岩に座ったんで、永田岳が目の前ってことになって、必然的に永田岳方面ばかりの写真を撮ってしまったようだ
永田岳山頂付近をズームで。
25分ほど休憩してから縄文杉に向かう。
せっかく来たのだから永田岳も往復しておきたいところだが、それやったらバス乗れなくなるからな。
永田岳分岐の先しばらくは長閑な縦走路。咲き始めのシャクナゲが登山道を彩る。
オブジェのような岩山あって行ってみたくなる。
が、それは見た目の話。登山道から一歩外れたら猛烈なヤブに阻まれる。それが屋久島の山だ。
楽園のような縦走路も標高の低下による植生の変化でジャングル帯へと突入する。
だから写真撮る気力も失せてしまうんだ。
もうこうなると早く下山したいなあ、って気持ちが強くなってきて時間が気になってくる。
ところがだ、宮之浦岳〜縄文杉間て、もともと山行計画になかったエリアだから細かく調べてなかったんだ。いや距離は標識あるから把握できるんだけど、山で重要なのは標高差がどうなってるか、だからね!
しかも、新高塚小屋と高塚小屋の位置関係分かってなかったんで、新高塚小屋に着いた時、気持ち的には「もう縄文杉だあ〜」ってなっていた。
小屋内にザックがひとつだけあった。
新高塚小屋は屋久杉樹林の中の鞍部に佇んでいる。小屋内も広く、水場もトイレもあって快適に泊まれそうだ。
と、これは一般的な登山者なら、って意味で、オレ個人的には、「こんな所で泊まりたくね〜」ってなる。
森林限界上の稜線にある開放的な山小屋しか興味ないからさ。森のパワーも鳥のさえずりもいらないから
そういえば、同じ方向歩いてた小屋泊まりする人たちが、新高塚小屋で泊まるか高塚小屋で泊まるかの話題で盛り上がってたな。
気持ち的には縄文杉に近い高塚小屋。でも縄文杉目的の人で混みそうだから新高塚小屋かなあ、ってことみたいね。
で、オレはその小屋の位置関係が頭に入ってなかったから、同じ高塚って名前から近くにあるんだろう、と思ってた。
でも標識見ると1.5kmも離れてるんだ。
山道の1.5kmはかなり歩きでがあるで!
いや実際下りだと思ってたら、ひと山越えてからの下りだから参ったよ。
そして最後は階段整備されてたけど激下りで膝がガクガクになってしまった
高塚小屋って二階建てなんだ。
ここ…小屋の中入らなかったのかな。。
たぶん気持ちの余裕がなくなってたんだと思う。小屋なんでどうでもいいや!
とにかく縄文杉へ
そしてついに
これがあの…
んん…確かにスゴい!でもさあ、遠すぎて意味ねーじゃん!!
心の声がそう叫んでる。
上の写真はここの展望台から望遠で
で上の展望台からだとこんな感じ
ま、世界遺産に登録されちゃうとこうなるよね〜
昔の話だけど、世界遺産に登録される前のアンコール遺跡なんて、遺跡触りたい放題だった。有名な東洋のモナリザの彫刻(レリーフ)なんて普通に撫で撫でしてたから。今じゃロープ張ってあって肉眼でみるのがやっとだからね。
つまり見ることはできても感じることはできないんだ。
縄文杉も同じ。
頭では分かるんだ、巨大さとかね。
でも体で感じられないから震えるような感動がない。これやっぱり世界遺産登録の負の部分だと思うよ。
ま、多くの人は(オレ含めて)、実際に見たことが財産になるからそれでいいし、頑張って歩いて見にきたという達成感も含まれるから「来て良かった〜」で終われるんだと思う。
オレ正直、縄文杉見て、日帰り周回コースにしたことをナイス判断だったと思った。
翌日、縄文杉ピストンだったらほとんど修行だったろう。
ツアー客で賑わっているだろう、と思っていた縄文杉周辺だけれど、誰もいなかった。まだ12時40分だったが、帰りのバス時間考えると、ツアー客はすでに下山してるのだろう。
縄文杉から50分でウィルソン株まできた。予想通り下山では何パーティものガイドツアー客が下っていた。5〜10人がひとグループって感じかな。
そのウィルソン株のとこでは例の写真撮るためのちょっとした列ができていた。
皆さん❤️の写真、上手く撮るため格闘してるみたい。
この写真撮るために「来た甲斐があった!!」って喜んでるツアー客も多い。
ガイドさん、上手く撮るコツが分かってるのでお客さんのスマホ受け取りながら写してあげてたな。
その様子見てたYちゃん、誰もいなくなってからじっくり狙って撮ってたよ
ここまで下ると、終わった感のウエイトが強くなり時間が気になり出してくる。
バスに乗れればいいや→16時のバスに間に合わせたい、に。
16時のバスに間に合えば、屋久杉自然館発のつなぎのバスに乗れるんだ。間に合わないと安房までの4km歩かなくてはならないから間に合わせたくなるだろ。
そんなわけでウィルソン株からの下り、かなり膝に違和感きてたけど頑張ったんだ。
そして、大株歩道分岐からの10kmほどのトロッコ軌道の上を2時間で歩き、
15時45分荒川登山口に到着した。
すでに多くのハイカーがバス待ちしていた。我々もすぐ並ぼうと列に向かうと、係員からチケットはあるかと聞かれ、見せるて整理券渡された。「あと二人だなあ」とか話してたから、チケット買って戻ってきたら定員オーバーで次のバスになっていたかも。
屋久島自然館でバスに乗り継いだ時、次のバス到着してなかったから、あのバス乗れなかったら安房まで歩きだったかもな
つまり、空港のとこの案内所のおばちゃんのお勧めに従ってチケット買っておいて大正解だったってわけよ。
そんな長〜い山行が終わり、宿に着いたら17時になっていた。
Yちゃんは少し休んでからお風呂入って、それから夕食にするっていうんで、オレは風呂入ってから「とりあえず刺身の盛り合わせで一杯やってくるわ」で、オーナーさんの居酒屋に行った。いやあ、刺し盛りが美味すぎて病みつきになりそう!
レモンサワーもチェーン店のような薄いんじゃなくてしっかりアルコールのレモンサワーだぜ。
オレ一杯だけ飲んで、Yちゃんの夕食に合わせて戻るつもりだったんだ。でもラインきてここ来るってことになっちゃった。
じゃ、のんびりと…
と、スマホ見たら珍しい人からライン入ってた。5、6年前までよく一緒に山登ってたTちゃんからだった。
「またご一緒しましょう」との嬉しいお誘いだった。