小屋の消灯は20時。2階の大部屋には40人ほどは泊まれる広さの中に5人だけ。こたつが一つあるので4人の方はそのこたつに足を入れながら寝られ、私は小屋番さんのご好意で湯たんぽを用意していただきました。とにかく寒いんですよね。
私はダウンを着たまま布団に入って寝ました。湯たんぽの効果で足がぽっかぽかなので助かりました。
疲れているとはいえ、そんなに眠れるわけなく、まあ何回も寝たり起きたりを繰り返しながら、そろそろ、と思って時計を見たら4時になってました。
一晩中激しい風の音がしていたので天気が悪いままなのか・・・と想像しながら外のトイレまで行ってみると空には満天の星となってました。
気分が良くなりそのまま起床します。

5時になると小屋番さんがストーブに火を入れてくれたので暖まりながら夜明けを待ちます。


ちょっと外へ出るとちょうど硫黄岳の上に三日月が見えたので、カメラを持ち出して撮影してみました。何枚か撮っただけでしたが、ダウンを着ただけで手袋等の防寒をしてなかったため顔も指先も感覚がなくなるほど冷え切ってしまいました。

その時の気温-18℃でした。気温が一番低くなるのは日の出直前なので、その頃には-20℃に達したのではないかと思います。


6時に朝食(当初の予定は6時に出発)を食べ、6時45分に出発します。


昨日と違って快晴です。硫黄岳までは下部の樹林帯を抜けると強風にさらされながらの登りとなります。眼下の景色をのんびり眺める余裕はないものの休憩を兼ねた写真撮影などしながらゆっくり山頂を目指します。


あと少しがけっこう大変なんですねえ~


硫黄岳に着いた時、ちょうど鉱泉からの登山者も登ってきていました。
やまびこ荘から1時間10分かかりました。

休憩はとらずそのまま横岳に進みます。


硫黄岳を後にして、硫黄岳山荘まで標高にして100mほど下り、そこから登り返しとなります。
硫黄岳山荘周辺はかなりの強風帯となってます。天望荘方面から縦走してくる登山者とすれ違うようになってくるのもこの頃からです。


さらに標高を上げていくとピークにでます。前方には横岳の核心部が、そして左手には富士山がドカーンと見えてきました。

ここからは景観も核心部。いよいよ八ヶ岳の迫力ある岩稜の景色をブログに・・・
と思っていたのに「なんだこの写真は・・・」というものばかり。
実はね、数ヶ月前に、メインのデームレンズの球面を傷つけてしまって、最近は代用のレンズで撮ってるわけです。なんか・・・納得のいかない切れ味なんで面白くありませんね。

で、その核心部の通過ですが、いきなり現れる岩壁の右側、つまり西側の断崖を短い鎖で通過しさらに鎖で直上、さらにハシゴで岩場の上部にでてリッジ状の雪稜をひと登りで横岳の頂上に立ちます。稜線上は無風状態でしたがもし強風が吹いているとかなり怖いと思います。


そして、横岳頂上(といってもいくつもあるピークの一つです)を越えて下ったところからそのピークの岩場を撮ったものです。


時々ガスってしまいますが、天空の城のような景色も現れたりします。


横岳ってこんないくつもの岩壁のピークが連なっているんです。そこを鎖場やハシゴで越えていくわけです。もっとも高度感のあるところが一番最初の鎖場の通過であとはそれほどでもありません。


東側の景色に注目していると知ってる山が見えてきます。両神山の奥にうっすら見えてるのは筑波山でした。


八ヶ岳の主峰、赤岳と富士山とのコラボです。


横岳最後のピークを越えたところです。

ここで緊張感からは開放されます。
と、ここで時計を見てびっくり。10時30分になってるじゃないか・・・。
当初の計画は、赤岳、阿弥陀岳と縦走して御小屋尾根で下る、というもの。この場合、赤岳通過は9時を想定。すでに1時間半過ぎている上まだ30分以上かかるので11時をかるくオーバーしてしまう・・・。

やまびこ荘の出発が予定より45分遅れだったので阿弥陀岳は厳しいと思っていたけれど、赤岳は余裕で登れるはずだった・・・
途中で出会った人とだいぶ話がはずんでしまったからなあ~

まあいいや、赤岳と阿弥陀岳は2年前に登ってるし・・・
そんな気持ちになって、地蔵尾根を下ることにしました。

帰りが遅くなっても構わないなら阿弥陀岳を越えてく選択もありますが、恐妻家の私には、午後4時までに家に着いて車を洗わなくてはならない、という使命感があって、逆算して1時30分までには美濃戸に戻らなくてはならなかったわけです。


地蔵尾根上部は急峻です。そこを慎重に下っていきます。


降雪後のラッセルはかなりの厳しさが予想されますね。美しい樹氷も見られます。赤岳や阿弥陀岳の景色も素晴らしく、立派なカメラを持参した人が三脚を立てて撮影したりしてました。


30分ほどで行者小屋到着です。稜線からほぼ直滑降的に下っていくのでロスがないんですね。急峻な登山道ですが時間的には早いです。

行者小屋からの横岳西壁の眺めはド迫力です。


これも同じ横岳西壁です。

赤岳や阿弥陀岳はもっと素晴らしい景色なのですが、写真がダメでした。逆光ということもありますが、まったくのピンボケです。オートなんですがダメですねえ~
というわけで、アップできません(>_<)


行者小屋からの下りは南沢経由です。
単調な雪道の下りですが無雪期より歩きやすくていいですねえ~

でも、ここでトラブル。もう少しで美濃戸山荘に、というところで気が緩んでいたのかアイゼンの爪を引っ掛けて転びそうになり、頭では「大丈夫、倒れない!」だったのに、体がクルリと一回転して1mほどの段差を背中から落ちてしまいました。
幸い落下地点が雪面だったためまったくダメージを受けなかったのですが、首にぶら下げていたカメラが凶器となってしまい、鼻から口にかけて激しくぶつかってしまったようです。気がつけば至るところ血だらけになっていてびっくり。慌ててタオルで拭きまくったためタオルも血だらけ。痛いのと恥ずかしいのと複雑な気持ちのまま、すれ違う人にさとられないよううつむき加減に下りました。


美濃戸山荘に着くまでにはだいぶ痛みをおさまりました。

あとは車道を40分ほどかけて美濃戸口まで歩き無事?山行が終わりました。
13時15分でした。

顔まわりの防風・防寒対策をしっかりしていれば、もっと楽しい登山ができたと思います。とにかく顔と目が痛くてまともに前を向いて歩けませんでした。とりあえずまともな目出し帽を購入したいと思います。
その他、ウエアについては、今回は、下着の上にユニクロのヒートテックのTシャツと同じくフリースだけで、アウターに雨具というスタイルで気温-20℃、体感温度-35℃問題なしでした。要は、肌を露出させないこと、それに尽きると思います。

おしまい