●金剛童子(こんごうどうじ)
(※画像は「仏教珍籍刊行会」発刊 『新纂仏像図鑑. 天之巻』より)
梵名を「縛曰羅倶摩羅(ヴァジラクマーラ(Vajrakumāra))」。
末世の衆生を化益(教えで善に導き利益を与える)すべく
化現した本尊とされる。
不空訳の経典では「青童子」とも称され、金剛薩埵が所変
した姿として東密の本尊とし、金剛智訳の経典では
「黄童子」とも称され、阿弥陀如来が所変した姿として
胎密の本尊とする。
金剛童子念誦法には『偏光焔盛なること日輪の如く。
天魔軍を墔伏し神力無比なり』と。
金剛童子儀軌に曰く、
『身は火色の如く身上にもれなく行き渡り、火焔を流出し、
右手に金剛杵を持って斜めに挙げて上に向け、左手は
施願の手にして、脚は阿里茶立(←詳細不明)に為して
盤石の上を踏み、施願の手の下に於いて持誦者を援け』
とある。
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今回、「忿怒の顔した童子」という、まるで癇癪持ちの
子供かのような尊です。
コトバンクさんには上とは違う説明がありまして、
サンスクリット名は「カニ・クローダ(Kani-Krodha)」。
黄童子は黄色身の二臂像。
青童子は青色身の六臂像。
胎蔵界曼荼羅では金剛手院に置かれる。
金剛童子法は調伏や息災を祈る密教の修法である。
とありました。
身体の色は赤・黄・青と、なんか経典ごとにバラバラで
定まってません。信号みたいに変色でもするのかと
思わせんばかりに・・・。
また、腕の数も違います。
勝手な予想ですが、
本来、マイナーな存在だったのが、密教の二宗派の
本尊にされたことで、それぞれの宗派で独自に内容へ
肉付けされたのではないかと。
そうでないと、整合が取れてない理由がわかりませんし。
さておき、コトバンクさんのお陰で
ご利益は「調伏」と「息災」ということが明白になりました。
真言ですが、
漢字のみでルビが振ってませんでした・・・。
「迦𩕳吽發咤」
とありまして・・・・・読みを考察しました結果、
「カニ・ウンハッタ」
と 思われます。
考察の際、ネックだったのは二文字目の「𩕳」(寧+頁)でして、
日本語読みは「ニョウ」・「デイ」、中国語読みは「ニン」でした。
が、
この尊のサンスクリット名からして「ニ」と読むのが正解かと。
コトバンクさんのお陰ですな。
印は、独鈷印とのことです。
人差し指同士だけ合わせて、他の指は内縛にします。