●孔雀明王(くじゃくみょうおう)
(※画像は文化遺産オンラインから)
(東京国立博物館所属「孔雀明王像」)
インド名は「マユリ」、若しくは「マハーマーユーリー」。
マユリとは「孔雀」の意味であり、マハーマーユリーは
「偉大な孔雀」と訳されるインド神話の女神のこと。
そのため「孔雀仏母」、「仏母金剛」とも呼ばれる。
常に孔雀に乗った姿で描かれると共に、
明王でありながら憤怒の形相ではないばかりか、
手にする持ち物も武器ではなく蓮華や孔雀の羽である。
孔雀明王は嘗て僧をしていたとき、毒蛇に噛まれて
苦悶しながら息絶えたことから、蛇毒を抜くことを
誓いとする。
(※孔雀はキングコブラの毒に対して抗体があり、それを捕食する)
空海の開いた真言宗に於いて、孔雀明王は釈迦如来の
化身であるとされている。
人々の災厄や苦痛を取り除く明王として独自の信仰を集めた。
マンガ『孔雀王』のモチーフとなった明王なので
御存知の方も多いのではないかと。
明王でありながら慈悲の存在とされる謎の明王さまです。
ただ、個人的には孔雀明王の謎よりも、
その秘法を修めたとされる人物(↓)の方が気になってます――
以下『今昔物語』の一説。
”文武天皇の御代に「役ノ優婆塞(えんのうばそく)」と
申す聖人あり。大和国 葛上の郡・茅原の村の人なり。
俗姓は加茂役の氏なり。年来、葛の山に住みて藤の皮を
以って着物とし、松の葉を食物として40余年、かの山の
中の崛(洞窟の意)に居たまえり。
清き泉を浴みて、心の垢を洗い浄めて、孔雀明王の
咒(呪文の意)を誦す(唱えるの意)。
或る時には、五色の雲に乗りて仙人の洞に通う。
夜は諸の鬼神を召し駈けて水を汲ませ、薪を拾わす。”
この「役ノ優婆塞」とは、
世に言う「役小角(えんのおづぬ)」で修験道の開祖です。
この方、孔雀明王の呪文を唱えて修行したところ、
上記のようになったばかりか、空まで飛べるようになったとか・・・。
(江戸時代には神変大菩薩という菩薩にまでなってます)
で、この方が開いたとされる寺院が、
鳥取県の『投入堂(なげいれどう)』。
(※画像はwikipediaより)
役小角が法力で建物ごと断崖絶壁にある洞窟に投げ入れた
とされることから投入堂と言います。
日本一危険な国宝寺院として有名な場所でして、
この御堂の中に入る方法は未だありません。
可能なのは飽くまで、その斜め下から見上げることだけです。
それでも、その位置まで行くのに険しい登山を強いられ、
山から落ちて死亡された方さえ出ています。
役小角は容易に通えた事でしょうけども・・・・。
●BSS山陰放送ラッテチャンネル 投入堂に関する動画
ともあれ、孔雀明王の御利益ですが、
「延命」・「無病息災」・「災難除去」・「雨乞い」・「若返り」
雨乞いと若返りというのは異質ですね。
流石に「空中飛行」は真言を唱えたくらいでは無理のようです。
真言は、
「オン・マユ・ラ・キランデイ・ソワカ」
印は、色々あるようですが、本に載っていたのはこちら。
真言を唱えて頂けている動画。