今年、プレイコールを任せていただいた1人として、サイドラインから見えるアメフトの世界を少しだけ書かせていただきます。
アメフトのプレイコールは、簡単に言えば“じゃんけん”のようなものです。
じゃんけんにはグー・チョキ・パーの3つがあり、それぞれに勝つ相手と負ける相手がいる「三竦み」の関係の中で勝敗が決まります。確率的にはどの手も同じはずなのに、「じゃんけんが強い人」がいます。その人には、相手の心理を読む力と、勝負どころでの勇気があるのだと思います。
ジャンケン愛好家によると、人はとっさに出しやすい“グー”を選ぶ傾向が強く、指を2本だけ出す“チョキ”は最も出しづらいそうです。そのため、初手で最も勝率が高いのは“パー”になると言われています。ただし、相手がその前提を知っていれば、そこからさらに一手先を読む必要があります。
アメフトもまさにそれと同じで、どんなディフェンスにも強い「定石のプレイ」がある一方で、あえて定石を破る“チョキのようなプレイ”を出す瞬間があります。
いつチョキを出すのか。それが、プレイコールの面白さであり、怖さでもありました。
思い返せば、定石を破る勇気を持てた時こそ、プレイがうまく決まり、ロングゲインにつながっていました。プロではないので、コールがすべての勝敗に結びつくわけではありません。それでも、勇気を持って決断した時には、それ相応の体験と結果を得られたのは確かです。
4年間をアメフト部で過ごし、最終学年をプレイコーラーとして迎えられたことは、私にとって何よりの財産です。この経験を通して、少しだけ精神的な強さを手に入れられた気がします。
4年間をここまで魅力的なものにしてくれた同期、たくさん支えてくださった先輩方、そしてついてきてくれた後輩に心から感謝しています。また、4年間の集大成となる試合に足を運んでくれた両親にも、改めて「ありがとう」と伝えたいです。
間違いなく最高の4年間でした。
