副業の福祉施設の職員から映画の話となる。
同僚:「@@さん(私)、『室井慎次シリーズ』はどうでした」
私:「特に後編が良かったです。室井さんが死んでしまうということはネタバレで知っていましたが、まさか、家族との絆になるとは思いませんでした。最後、思わず涙が出てしまいました。」
同僚:「数年後、青島刑事をメインにした映画が出るようですよ。ところで、藤井道人監督の『正体』を観てきました。すごくよかったですよ。」
私:「ちょっとエグい場面がありそうなので避けていました。」
同僚:「確かにそういう場面もありますが、それ以上に感動しました。」
私:「サービスデーに(映画館に)行きたいと思います。」
そのサービスデーがやってきた。
14:55開始だったが、映画館の発見売り場には15時になってしまった。
スタッフ:「もう、本編が始まっています。どうしますか?」
私:「次にします。」
結局、出直して2時間30分後の17時30から鑑賞することになる。
第一印象は『メチャクチャいい映画だった』。
最後は感動で思わず涙が出てしまった。
主演の横浜流星についてよく知らないが、大変いい役だった。
個人的には刑事役の山田孝之、大規模開発の現場監督役の駿河太郎がいい。
印象に残ったシーンは拘置所で面会する捜査一課係長役の山田孝之とのやりとり。
刑事:「なぜ、逃げるんだ。」
鏑木:「この世界を信じてみかかったから。(中略)もっと生きたいって思いました。」
この作品は染井為人の小説が原作。
しかし、現実の世界でもこの映画に描かれていることが実際に起きているから恐ろしい。
まず思い出すのは、静岡市(旧清水市)に1966年に発生した『袴田事件』。
死刑判決を受けた袴田巌氏は、58年後の今年に『無罪判決』となる。
数々の物的証拠を静岡県警が捏造していたことが明らかとなる。
無罪の身となる袴田氏は現在88才になっている。
この映画の主人公の鏑木(横浜流星)は警察が誤認逮捕と認めて数年後に無罪判決がでた。
この映画も衝撃的だが、実際の袴田巌氏は人生のほとんどを死刑囚として過ごさなければいけなかったことを考えると戦慄が走る。
もう1つ、衝撃的だったシーン。
それは福祉施設で人質を盾にして立てこもる場面。
TVや報道関係は施設の外からの中継しかできない。
鏑木(横浜流星)はSNSの生配信を使って、室内での様子をライブ中継する。
まさに、今現在のマスコミ業界の体質(真実を伝えない)を浮き彫りにしている。
ちなみに、この制作にTBSが関わっていることが何とも皮肉。
<社会の問題点>
・警察のズサンな捜査と間違った信念’(誤認逮捕はあってはならない、真実はさほど重要ではない)。
・忖度しなければいけないマスコミ報道。
以上のことを学んだ気がする。
鏑木(横浜流星)は5つの顔をもって逃亡する。
私が思うに彼の5つの顔すべてが真実だし、正体ではないだろうか。
世間では『二面性がある人間』という言葉は裏表がある人間というように否定的に用いられる。
しかし、本当は二面性だけではなく5面性、10面性と人間は様々な顔を持っていると思う。
この映画は最初思っていた以上に感動し、色々と考えさせられることが多かった。(感謝
)